『ベアタ・ベアトリクス』感想・1

星組公演感想,星組

星組バウホール公演『ベアタ・ベアトリクス』9月13日(火)15時公演を観てきました。

極美くんバウホール初主演&熊倉センセイのデビュー作品でございます。
おめでたい!

近年、新人演出家の技量が高すぎて驚かされることが多かったのですが(ウエクミ然り、さっしー然り、栗田センセイ然り)、今回はそこまでではないです。
決してダメなレベルではないです。
ただ、わりとふつうというか、新人演出家らしいというか。

※以下、ネタバレ注意※

題材の選び方も面白かったし、舞台の見せ方や演出など、いろいろとチャレンジしてるのが感じられた作品です。

公演解説からドロッドロな作品を想像してたらさほどでもなく、けっこう楽しく観れました。
ただ芝居を観ている最中はさほど気にならなかったんだけど、終わってから「ちょっとバランス悪いよね」と思うところも。

まずは第1幕がかなり長くて第2幕が短い構成が気になりました。(逆よりはいいけど……)
フィナーレなし(ちょっとはあったけど)の第1幕1時間20分、第2幕45分はバランスが悪い。
第1幕の終わりを衝撃的なものにして、「これからどうなるの!?」とお客の興味を引く効果はあったなとは思うんですが。

それと人物の配置。
第1幕でヒロインほのかが死んでしまったり、2幕でほとんどあまとの出番がなかったり。
もうちょっと、なんか。

ただ、1回しか観てないので、明日配信を見たら感想は変わるかも。

出演者たちはすばらしかったです。
星組生、うまいわ!!

極美くんのバウの初主演作品の役どころはありていに言ってクズ男です。
あの可愛い可愛い極美くんが!
可愛いからこそ、あのクズっぷりでも許せるのか……?

ロセッティはぺかーっとした笑顔の下になんともいえない陰を感じる極美くんに合う役でした。
嫉妬をたぎらせるところとか、狂った感じとかハマるよねぇ。

ヒロイン・リジーはほのか。
何度目のヒロインか覚えてないけど、歌唱力が高くて娘役芸を持ってる経験豊かな娘役さん。
登場時のドジっ子ヒロインぶりから、オフィーリアのモデルとしての美しさ、そして2幕での女神のような包容力まで披露。
少々、作品的に(というか主人公にとって?)都合のよい描かれ方だとは感じましたが、それでもほのかのリジーはすばらしかったです。

都合がいいといえばロセッティの友人・ウィル以上の人はいないでしょう。
なんであんなロセッティの友人でい続けるんだ彼は……と思わずにいられない。
並外れて人が好い人物で、「主人公の友人」という形式的、ご都合主義ポジションのようにも思える。
けれど演じるさりおがものすごくよくて、血肉の通った人物に仕上げているんですよね。
あのウィルならロセッティのそばにい続けるだろう。友人をやめたりしないだろう。

公演の3番手ポジだけれど、2番手以上に出番の多いウィルを演じるのがさりおでよかった。
本当にうまいから。

ロイヤル・アカデミーで競った3人のうち、最後まで絵を描き続けているのがエヴァレット(あまと)でもロセッティでもなく特別な才能はない自分(ウィル)なのが不思議だ、みたいなことを語ってましたが、そういうことってあるよね……としみじみしました。
ウィルにあったのは「絵の才能」よりも「続ける才能」「世間とうまくやっていく性格」なんでしょうね。

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