『幕末太陽傳』新公感想・3

2021-01-31雪組

・徳三郎役のすわっちは上手くて面白かった。

すわっち自体は美形ではない(と思う)んだけど、かれが演じる徳三郎はけっこうな色男に見える。
吉原帰りの朝もおひさとのやりとりも、何不自由なく育った美男子が余裕たっぷりに振る舞っているように見えた。徳三郎の綽名はきっと今源氏だな。

「三枚起請」の場面で女中に膝枕させてるところは、「相模屋」の坊としてほんと好き放題にしつつ育ってきたんだろうなぁと。甘えてるというよりもやらせて当然な感じがあるの。
そして女中たちに手を出しててもおかしくない。ていうかたぶん出してる。

そんな徳三郎がときどきコメディやるのが面白い。
「昔の若旦那は頭がよくて優しくて」のあと「それが今は……」とおひさに言われたときのマヌケな反応がなんともね(笑)。

メリハリありのギャップありの演技ですが、それが不自然じゃなかった。
「千躰荒神祭」の歌もとてもよかったです。
実力者ばんざい。

・上手くて面白かったといえば叶くんも。
本公演では大ちゃんが演じてる貸本屋の金造役です。

芝居が良いのは想像どおりなんですが、新公バージョンでの笑いも入れてくる。
おそめと心中するところで「もっとずんずんお行きよ、桟橋はけっこう長いんだから」と言われての「人生は短いけど!」みたいなことを言ってた。
それと棺桶に入っての登場のあといのさんに水をかけられて棺桶の箍が外れてしまったのを戻そうとあわあわするの。
そのあとはガエン者2人と一緒に水をかけられて「水も滴るイイ男ッ」と。

他にもあったかも。
心中物の本ばかり持って登場するところの動きも違ってたと思う。中身ちょっと見えたし。

笑わせてもらいました。

・娘役では遊女こはる役のみちるがとても鮮やかな存在感を見せました。
本役のあんりちゃんほど騙されたくなる感はないんだけど、みちるこはるは生命力が強さが魅力的でした。
そして芝居がうまい!
真っ向からヒロインな感じじゃない役のほうが得意なのかな?

鬼又が身請けの100両を用意してきた場面では、鬼又が見ていないところではめんどくさそうな顔してたぞ。
面白かった。

・なお、今回の新公担当演出家は栗田優香さん。初めて見るお名前だ。
今回の新公の成功がどのくらい彼女の力によるものかわからないけれど、いい演出家になられますように。

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