『かもめ』感想・3

星組

・コースチャの作になるという設定の劇中劇について。

すべての生き物が死に絶えた世界を舞台とし、あらゆる生き物の霊魂が溶け合わさって一つになっているという設定に「中二病か」とついツッコミを入れたくなった。
が、文庫本の解説によると、彼(コースチャ)の思想は人生老年の至ってはじめて持つべき思想であり、青年がいたずらにそういう思索にふけると豊かな色彩を持つ長い人生が無意味に思われてくる、と。
(チェーホフの『ともしび』の中で技師にそういったことを語らせているそうな)

彼は、最初から死に近いんですね。

・コースチャ役の礼くんは、やはり歌とダンスが圧倒的。
すごい力がある。

彼は芝居はやや幼い印象で、でも歌になると年齢が上がるんだよね。
言葉に説得力が出る。
なんか不思議。
(これは役柄のせいだけではないとおもう。ロミジュリのときも思ったから)

歌とダンスに比べるとどうしても芝居は見劣りがするけれど、決して悪くないと思う。
だいたいがまだ研6の男役だもの。
今回の公演自体、その芝居を鍛えるためのものだというし。

ところで、お母さんと喧嘩したときの大泣きで客席がウケてたけど、あれはどうなんだろう……。
私もちょっと笑いたくなったけどさ。

・みっきーのトリゴーリンがすごくよかった。

ものすごく賢いようでいて、中身がなくて、虚ろで、人や環境やあらゆるものに流されて生きている文士。

すごくイヤな感じで、「こういう人いる!」と思うくらいにリアルで、でもなんかわかるようななぜか自分との接点を感じてしまうような……。

舞台上の人とは思えなかった。

「みっきーさん、あなた、日本人の女性で、作家ではなく舞台俳優で、女優のツバメやってる人じゃないですよね?」と聞きたくなるくらいだった。

なんかすごかった……。

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星組

Posted by hanazononiyukigamau