かれーちゃん東京サヨナラショー・2

花組

サヨナラショーのセットリストは大劇場と同じ。

ですが、まどかのソロ『アナスタシア』の「夢の中で」が、ムラよりもメッセージ性を強く感じました。
アーニャという役としてではなく、まどかの意志を乗せたような歌詞でしたね。
宙組から専科を経て花組にきて、そして新たな道へと旅立つまどか。
彼女がひとつの夢をかなえ、そしてまた新たな夢をつかみに行く、そんな勇気と決意を感じさせる歌でした。

サヨナラショーが幕を下ろすと、再び組長あおいさんによる退団者の紹介やお手紙の代読。
さっきまでサヨナラショーで歌い踊ってたのに、すぐに別のお仕事もされるのってすごい体力と気力ですね。

みこちゃんの話

みこちゃんが音楽学校時代に一番好きだったのは演劇とのこと。
納得だわ。文化祭から上手かったもの。

代読のお手紙でか大階段降りしてのご挨拶でかは忘れましたが「清い人になれたかはわかりませんが……」的なことをみこちゃんが言っていました。
これは音楽学校に合格した際のインタビューで言っていた「清い人になりたいです!」からきたものなんですね。

「清く正しく美しく」を掲げる宝塚歌劇団とはいえ、うら若きお嬢さんが「清い人になりたい」と思うのはどういう心情なのだろう。なにか、自分の心の闇を過剰に見つめてはいないか、あるべき姿を追いすぎて自らを追い詰めてはいないか――と、ふと不安が心によぎりました。私、みこちゃんの性格とかはまったく存じ上げないのですけどね。

退団者6名のコーナーでも、みこちゃんは「私は、愛が、なにかそういうのがわかっていないのですけど、見つめているだけで涙が出てくるのも愛と教えていただけた」と発言。
いろいろと、考えすぎるタイプのお嬢さんなのでしょうか。その悩みが彼女の内面を成長させ、演技力として昇華されていたのでしょうか。

「愛蘭みこになれて、ほんとうに、よかったです」
と最後に。
本当に、なってくれてよかった。大好きな娘役さんで、花組を観る楽しみのひとつでした。

続くほっちゃんは「朗らかに生きて参りたいと思います」と。
どうぞ朗らかにお元気で。

かれーちゃんの大階段降り

かれーちゃんの大階段降りは黒紋付きに緑の袴。言わずと知れた宝塚の生徒の正装。
一段一段をゆっくり踏み締めるように。

同期生からのお花は専科のまゆぽんからでした。
組内に同期生がいないので、同じ公演に出演している専科の同期生が役目を果たします。
大劇場でのマイティーはあくまでイレギュラー。
「れいまい」ほどの縁の濃さはありませんが、それでも中卒3月生まれピヨピヨのかれーちゃんが音楽学校時代に「岩ねえ」として慕っていた高卒しっかり者のまゆぽんからお花を受け取るというのも奇縁です。

かれーちゃんのブーケはプロテアをメインに、黒赤系でまとめたベスティア様みたいなの。かっこいい。似合ってる。
卒業のブーケにはかれーちゃんのセンスが活かされているかと思われますが、ほんとセンスがいい。
ビジュアルもダンスもそしてこういうのも。「えと文」もすごく面白かった。かれーちゃんはセンスのかたまりなんだよね。

ご挨拶では「羽根を下ろした」という表現に心臓が痛くなりました。
羽根を背負って責任を背負って走り抜けて、そしてようやく最後の日にたどりついた。
ようやく一息つけた安堵を感じました。

「己を愛し自分を信じ、誇りをもつ。」とのことばにいいご挨拶だなぁと。

幸甚の極みでございます、とところどころ言葉づかいがかたい。こういう武士みたいなのも宝塚ではこの日が最後。


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