11月10日に日テレNEWSに上がった、遺族側の記者会見の動画を全部見ました。
1時間12分あります。
質疑応答も長いです。
とりあえず、遺族側が本気だということがわかりました。
あと、劇団の態度が遺族側を怒らせたということも。
遺族側の代理人弁護士は川人博氏と井上耕史氏。
川人弁護士は大阪の生まれで東京弁護士会所属です。
電通の事件などで有名な方だったはず。
川人法律事務所オフィシャルホームページ (kwlaw.org)
パワハラ(いじめ)についても言及していますが、主に労働状況をめぐる問題になりそうな感じです。
遺族側は、現在は民事裁判を考えていないようですが、劇団の対応次第でしょう。
川人弁護士に依頼するに至った原因も劇団側の対応からきているようだし。
さて、新人公演の長の仕事は過酷と噂では聞いていましたが、想像以上でした。
新人公演を楽しみにしたり、劇団内での上下関係にロマンを見ていたりしていた以上、ファンであるこちらに非はなかったのか。
彼女らの過重労働に、ファンもある意味で加担していなかったかと思わずにいられません。
しかし、ファンが責任を負いすぎるのも違うなという気がするので、とりあえず横に置いておきます。
メモを取りながら見たので、動画の内容が気になる方は以下をどうぞ。(長いです)
ただし質疑応答部分は聞き取れない部分もあったのでご容赦ください。あと申し訳ないけど正確性は保証しません。
当事者について
当事者については匿名を希望。
25才、2023年9月30日に亡くなる。
音楽学校卒業後、劇団に入って7年目。
「長の期の長」=下級生の責任者という立場。
ご遺族=ご両親および妹さんを指す。
契約について
被災者(亡くなられた方)は入団当時から劇団での出演・稽古を行ってきた。
研6からは「出演契約書」が作られていた。
拘束性が強いもの。
被災者が舞台に出演、レッスン等に参加、出演にあたって劇団の方針に従う、稽古などの指示に従う、劇団の許可がなくては劇団以外では演技や歌唱をしてはいけない=専属性がある。
「誓約書」が出されている=体型の維持・管理に勤める、も書かれている。
研5までは「雇用契約」、
研6からは「委託契約」という形式になっている。
被災者も入団6年目から「出演契約書」という委託契約書に双方サインされて契約が結ばれている。
ただし、使用・従属関係にあるのは明白で、労働契約と評価すべき。
安全配慮義務が劇団には存在する=心身の健康が損なわれないよう配慮するべき。
自死直前の労働状況について
2023年8月16日以降、1日3時間程度しか睡眠がとれない日が続いていた。
宙組生の同期が当初8名いたが、亡くなったときは2人しかいなかった。
被災者含めた2人は娘役だったので、男役の詳細はわからず下級生への指導が難しかった。
衣装ひとつを買う(借りる?)のでも苦労した。
人数的な無理がある状況だが、劇団は改善措置を取らなかった。
9月29日から公演、8月26日から稽古。
俳優としての出演に加え、下級生の責任者としてまとめ役をしなければならない。
6日ほど休みはあったがさまざまな仕事で時間を費やした。
9時から夜の12時まで稽古・準備をし、自宅に帰ってからも仕事をしていた。
同居家族によれば約3時間の睡眠が続いた。
新公の出演者であるだけでなく、演出家の補佐、シナリオ、配置の決定などの深夜の演出家とのやりとりはLINEに残っている。
8月26日から9月29日までの間に6日間の休日があったが、6日の休日も終日業務をせざるを得ない状況。
公演で使用する化粧品や衣装などの買い物、公演のための髪染め、演技のための筋トレ、体調維持のためのマッサージ、公演の譜面の音取りなど、新人公演のための書きもの、演出家との連絡。
時間外労働時間は月200時間を超える。
ハラスメントについて
2年前、8月14日(東京公演の稽古の日)上級生から「前髪を巻いてあげる」と言われヘアアイロンを額に当てられてやけどをした。
今年2月に週刊誌の報道があり、被災者はプロデューサーの聞き取りに事実を答えたが、その後上級生から詰問され、劇団はHPに「この報道は事実無根である」との理事長の声明を一方的に発表。
劇団の対応に精神的な負荷を受けた。
それでも8月5日まで稽古や公演活動をつづけた。
8月16日以降、秋の本公演・新人公演に向けて本格的な稽古が始まり、過酷な労働状況に至った。
上級生から
「下級生の失敗はあんたのせいや」
「マインドが足りない」
「マインドがないのか」
「嘘つき野郎」
などの暴言を受けた=パワハラに該当するのは明らか。
阪急電鉄は担当部門任せではなく適切な対応をすべき。
劇団・阪急電鉄に対する遺族側の要求と今後の見通し
遺族は本件の死亡について、劇団・阪急が事実を正しく把握したうえで、劇団の安全配慮義務違反があったことを認め、劇団・阪急ならびに関係者が遺族に謝罪し、適切な被害補償を行うことをすでに求めている。
劇団・阪急側は10月に本件に関する調査委員会を設置し、その調査報告書が届いたのちに、劇団内で検討の上、今後の劇団の方針を公表し、遺族に対する回答を行う旨述べている。
遺族側は調査委員会の報告書が出されたのちに、劇団が会見を行う場合に、それに合わせて遺族側も会見を実施する。
日時はことの性格上特定できないが、記者クラブにも追って相談する。
遺族は劇団・阪急との交渉・話し合いを行い、事実に基づく謝罪と適切な補償を要求する。
遺族の訴えの代読
遺族の訴えを井上弁護士が代読しました。
以下、神戸新聞NEXTより。
娘の笑顔が大好きでした。
その笑顔に私たちは癒やされ、励まされ、幸せをもらってきました。
けれど、その笑顔は日に日に無くなっていき、あの日、変わり果てた姿となり二度と見ることが出来なくなってしまいました。くりくり動く大きな瞳も、柔らかい頬(ほお)も、いとおしい声も、何もかも私たちから奪われてしまいました。
「どんな辛いことがあっても舞台に立っている時は忘れられる」と娘は言っていました。けれど、それを上回る辛さは、忘れられる量をはるかに超えていました。宝塚歌劇団に入ったこと、何より、宙組に配属された事がこの結果を招いたのです。
本当なら、今年の夏に退団する予定でしたが、突然の同期2名の退団の意向を知り、新人公演の長としての責任感から、来春に延期せざるを得なくなりました。それは、娘自身の為ではなく、自分が辞めたら1人になってしまう同期の為、そして下級生の為でした。
あの時「自分のことだけを考えなさい」と強く言って辞めさせるべきでした。なぜそう言ってやらなかったのか、どれだけ後悔してもしきれません。
大劇場公演のお稽古が始まった8月半ば以降、娘の笑顔は日ごとに減って辛く苦しそうな表情に変わっていきました。それは、新人公演の責任者として押し付けられた膨大な仕事量により睡眠時間も取れず、その上、日に日に指導などという言葉は当てはまらない、強烈なパワハラを上級生から受けていたからです。その時の娘の疲れ果てた姿が脳裏から離れません。傍(そば)にいたのにもかかわらず、切羽詰まっていた娘を救えなかったというやりきれない思いに苛(さいな)まれ続けています。
劇団は、娘が何度も何度も真実を訴え、助けを求めたにもかかわらず、それを無視し捏造隠蔽(ねつぞういんぺい)を繰り返しました。
心身ともに疲れ果てた様子の娘に何度も「そんな所へ行かなくていい、もう辞めたらいい」と止めましたが、娘は「そんなことをしたら上級生に何を言われるか、何をされるか分からない、そんなことをしたらもう怖くて劇団には一生行けない」と涙を流しながら必死に訴えてきました。
25歳の若さで、生きる道を閉ざされ、奪われてしまった娘の苦しみ、そして、あの日どんな思いで劇団を後にしたのかと考えると、胸が張り裂けそうです。
私たちは、声を上げる事もできず、ひたすら耐え、堪え、頑張り続けてきた娘に代わって、常軌を逸した長時間労働により、娘を極度の過労状態におきながら、これを見て見ぬふりをしてきた劇団が、その責任を認め謝罪すること、そして指導などという言葉では言い逃れできないパワハラを行った上級生が、その責任を認め謝罪することを求めます。
生徒手帳
音楽学校を卒業し、入団後も「生徒」として、劇団生は「生徒手帳」を持っている。
上級生、下級生とは縦の絆
同級生とは横の絆
本件の事件経過を見るに、一般の会社や一般の組織以上に縦の関係が徹底されている。
上級生がパワハラというべきさまざまな暴言・発言を繰り返していた背景に、過剰なまでの上下関係の重視があったと指摘せざるを得ない。
――このあと質疑応答がありますが、次項にて。
コメント