外部弁護士の調査報告書と会見・2

宝塚一般

11月14日に行われた会見や、公表された調査報告書などで思ったこと。
前回書かなかった分です。

謝罪と落としどころ

遺族側弁護士は体制の見直しと当事者の謝罪をメインの要求としている。
「当事者の謝罪」にはいろんな形があり、たとえば「申し訳ありませんでした」と頭を下げて終わることもあれば、劇団の処罰込み(たとえば退団措置)のこともある。
自死がなければ頭を下げて終わりだったかもしれない。
また、劇団側の最初の会見でハラスメントを認めていれば、もしかしたら可能だったかもしれない。

しかし、最初の会見で劇団側がヘタを打ち、労働関係で有名な弁護士に対応を依頼するに至ってはそれだけでは済まなくなってるのではないだろうか。

というのも、仮に当事者(劇団、遺族、加害上級生)が「頭を下げて終わり」に納得しても、世間的な耳目を集めすぎてしまったから。
遺族側に非を求めるつもりはない。弁護士に依頼して会見を開くほどのことでもしなければ、劇団や親会社の阪急が動く気がしないからである。
外圧なくして内部の自浄作用が働かないのは、日本に限らない話でしょうが、それで通る時代でもございますまい……。

私から見て「いい落としどころ」と思えた遺族側弁護士の要求を事実上蹴った(ように見える)劇団には驚き、失望もした。
しかし、私が観劇するようになってからの20年の歴史を見て、まぁ阪急側の対応ってこんなもんだよなと納得もしている。

コロナ禍ゆえの難しさ

調査報告書で一つ納得したのは、コロナ禍ならではの難しさが背景にあったということ。
上級生と下級生の話し合いの機会が……という、ある種情緒的なものではなくて。

今の下級生(研1、研2ら)はコロナ禍のもとで音楽学校生活を過ごしている。
ゆえに、ハードな舞台を前提とした集団生活に慣れていない。
音楽学校の生活はそれはそれで理不尽なことも多いのだろうけれど、役に立つ部分も当然多い。(だからといって理不尽なことが全てOKというわけではない)
稽古の用意や舞台での着付けなどのあらゆる準備においても、上級生との接し方においても。

そんな彼女らが急にハードなところに放り込まれてあたふたし、その責任を長の期が問われる。
コロナ禍ゆえに増大した負担があり、それを少人数で対応せざるを得なかったこともトラブルの原因なのでしょう。
ただ、長の期の人数が多くてどうにか対応していれば、そして文春などで取り沙汰されなければ、この問題も見過ごされてきたんだろうな。

被害者の落ち度

調査報告書には亡くなった方の落ち度についても書かれている。
ハラスメントの認定において必要なことである。

文章をそのまま取るなら、業務遂行上、ご本人も言い逃れをしたり嘘をついたりといったこともあるようだ。

ただ、うまくいかないとき、追い込まれたとき、いっぱいいっぱいなときってこうだよな……と同情を禁じ得ない。
やれていないことを「やってません」と正しく報告して、それできちんと回る現場なら。そして不備について上級生たちからフォローが入るところなら、今回のようなことも起きなかっただろうに。

劇団の対処について

「【報告書に記載された提言に対する当団の対応策について】」中にある、「劇団施設への入退館時間の短縮」は正直なところ、怖い。
生徒宅、寮、その他(公園など)での闇練習に頼りかねない懸念がある。
そして「労働時間」として算定されない時間がさらに増えるのではないかと。
卒業生が「宝塚の良さ」と挙げるものの一つが稽古場の確保でもある。

公演を減らして、休日を増やし、余裕を持った稽古をするようになれば問題ないんだろうか……?

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Posted by ゆきたろ