『MESSIAH』感想・5
・今回、改めてちなつの巧さに唸らされた。
ちなつの血も涙もない松倉勝家。
松倉みたいな、「悪人にも悪人の理があります!」的なところが一切ない、完全に私利私欲に生きる役もめったにないよなぁ。
感情移入や共感とは別のところにある役で、「芝居の月組」からは遠いところにあるイメージ。
けれど、今作のちなつは型芝居の「型」をきっちり作って演じていた。
ヘタに内面を深めると「役」が小さくなることがある。
内面よりなにより「大物」であることを優先させての「型」を見せてきたのは正しい。
松倉の実質は小人物だけど、島原や天草の民の生殺与奪の権を握ってるから、権力者としての大きさが欲しいんだよね。
小人物ぶりはマイティーの前を去る場面できっちり発揮してました。
でも銀橋の圧政ソングはうっかり楽しんでしまった……いい声すぎて。
・ちなつ松倉に仕えるタソ。
宝塚生活最後の役を、きっちりやりきってました。
「踏め」とか、ちなつ松倉への視線とか、どれもよかったわ。
・仙名ちゃんの声が清らかだから、「聖母」ポジにも説得力がある。
塩に焼けたのか茶色がかった髪がまた、少々外国人ぽさがあるし(たぶんそんな理由で茶色いわけじゃない。ついでに潮焼けしてるわけでもないだろう)。
脚本上は、そんなに書き込みのある人物じゃないと思うんだけど、演技力できちんと埋めてくる。
松倉にあごクイされてるときの緊張感や、解放されたときの虚脱感など、仙名ちゃんの演技あってだなぁ。
ラストの金色のシーンは「かれーちゃんの『金色だけは作れない』を無理やり回収してきたな……」と。
でもあの無理やり大団円(みんな死んでるけど)は嫌いじゃないです。
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