『クラシコ・イタリアーノ』感想・2

『クラシコ・イタリアーノ』は人情劇でした。

観ていて心がじんわりくる。
ラスト近くなんか洟をすすってる音が聞こえてきたもんなぁ…。それも私に聞こえる範囲で2~3ヶ所から。

ゆえに舞台を江戸時代に移して青天で演じても違和感がなさそう。
(あれ? いきなり蘭寿さんでしか妄想できなくなった)

火事かなにかで家族を亡くした子供が親方に拾われて京都で呉服の腕を身につけるが、ある日そこを飛びだして堺で成功する。
そして江戸に進出しようとしたが問題が起きる…みたいにね。
終わり近くのフィルムレターのところはみんなで手紙を読む感じになるんだろう。
(主人公の名前は猿羽鳥 笛利とかだろうか。)

この想定が成立するのも、古くさいとかお涙頂戴とかいうのではなくて、物語に普遍性があるから。
どの街どの時代で設定しても、たいてい物語は成立すると思う。

ただ、これを「観たい」と思う時代とそうでない時代はあると思う。
たとえばバブル最盛期(私は子どもだったな)なんかにはこれは湿っぽくて受けなかったんじゃないかな。

上り調子の時代にはこういう “原点回顧” の物語は年寄りの説教や時代に乗り遅れた人のなぐさめと取られ、苦笑されて打ち捨てられていた気がする。

でも今、時代が時代だから。
生産は伸び悩んで社会情勢も混迷している。今年は未曾有の災害も起きた。
力任せの前進は望めない状態で、ひっそりと穏やかにありたいと願う人も多かろう。
そして、未来がまばゆくないことを知っているがために過去を振り返る。
懸命に生きてきた過去を。

この芝居のラストからはフラストレーション発散型の快感は得られない。
けれど、自分の知った土地で堅実に生きることを選ぶ主人公に安心感をおぼえ、観客が現実世界で望んでいる方向は正しいのだとうけおわれている気持ちにすらなる。

誰もが望んだ――などとは言わないけれど、今の時代の需要をかなり充たした物語だと思う。

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