花全ツ『哀しみのコルドバ』感想・2

金沢歌劇座で見た、花組全国ツアー公演『哀しみのコルドバ』9月7日(火)13:30と18:00公演の感想の続きです。
・ヒロインまどかのエバ。
超路線娘役育ちでトップ娘役経験もあるまどかなので、舞台に不安はなし。
堂々たるヒロインでした。
貫禄のあるところは、リカルド・ロメロの館で女主人として生き、自分を愛するロメロをあしらえる強さにもつながる。
育ち自体はあまりよくないという、エバのほどほどの品のなさもすごくしっくりきました。
まどかは歌唱力もあるから、「エル・アモール」も聴かせましたねぇ。
・「エル・アモール」には2番手娘役・アンフェリータ・ナバロ役の音くりちゃんも。
こちらは抜群の歌唱力。
なんせ初舞台でカゲソロやってたお方ですから。
アンフェリータってすごく難しい役ですよね。
ちょっと空気読めない感じとかあるし(あえて読まないようにしてる感じもある)。
破滅に向かうビセントたちの情熱に「私たちもそうなるかも」とエリオに語りかけるところは「婚約者同士なのに、なに言ってんの?」と思ってしまうのだけれど、理知的な彼女だからほとばしる情熱にも憧れと理解があるのでしょう。
エリオと別れることになってのソロは絶唱。
過去公演のアンフェリータのソロもそれぞれ素晴らしかったと思うけれど、音くりアンフェリータの歌には、息づき、揺れ動く感情の流れが強く見えた。
・ひとこのリカルド・ロメロは、懐深く大人な男性の造形。
ひとこちゃん、ヒゲ似合うわ~~~~~。
今回の花組全ツ版ではプロポーズの場面が足されていたんですよね。エバへの愛がより強く見える設定になっていました。
以前この作品を観たときに「結婚してるわけでもないエバが誰のところに行こうと勝手じゃないか?」とリカルドの平手打ちに疑問を抱いたのですが、プロポーズしたために、ある程度は「愛の重さゆえ」という風に理解しやすくなりました。
あと、ロメロ夫人になりたい女の人は客席にいっぱいいそうだなって思いました。
・情熱のままに、不倫の恋をしてしまう闘牛士・ビセント・ロペスのほのかちゃん。
若さと美しさと、恐れをしらぬ情熱がぴったりでした。はまり役ですね。
闘牛士をやめてもなんだかんだやり手でしっかり生活できそうなお人ではある。
・ビセントの恋人・メリッサには小うららちゃん。
「あれは相手が悪い」と言われるのも納得の美しさです。
いかにもな魔性の女ではないけれど、たおやかな風情で守りたくなってしまうのが怖いところ。
回りが言うとおり、これまでも何人もの男性を破滅させてきたんだろうな~~~。
・メリッサの夫・セバスチャン伯爵ははなこちゃん。
どっしりとした風格と体格の良さに、身分ある大人の男性としての存在感が出てます。
不倫した妻・メリッサに「これまでお前に仕えるように愛してきた」みたいなことを言うところは、どこまで本気なのだろうと少々怖かったです。
微妙にモラハラ感をおぼえるというか。
立場・身分もあって、ナチュラルに支配してくる感じというか。
だからこそ、メリッサがビセントに走るのもわかる気がしました。
・しぃ様は闘牛士たちの師匠・アントン・ナバロ。
かっこよすぎる、心が広すぎる。
娘が理不尽に捨てられてもあの態度をとれるとは……。
この作品のかっこいい人ナンバーワンではなかろうか。
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