『夢介千両みやげ』感想・1

雪組公演感想,雪組

雪組大劇場公演『夢介千両みやげ』『Sensational!』を観てきました。
3月20日(日)11時と15時30分の回です。

※ネタバレ的なところもあるので注意※

作品について

まったりほのぼのした作品でした。
春らしい感じ。
ハッピーエンドだしね。
お茶の間でお団子食べながら見るとちょうど良さそうです――、というのは別に褒めてなくて(毎度のことながらすいませんね)、劇場でなにか感動するとか衝撃を受けるとかいうタイプの作品ではないなということです。
もちろん私見ですけど。

雰囲気としては明治座でしょうか。行ったことないけど。(ないんかい)
あるいはNHKでやってた「お江戸でござる」。
ああいう、まったりした、調和的にラストが決まる作品が好きな方には合うと思います。

しかしトップが「~だべ」系、2番手が「~でゲス」系のしゃべりって宝塚で観たいもんでもないなぁ。
ていうかこれをなぜ宝塚でやったんだ。
どっちも役としてあまりかっこよくないのが辛い。

咲ちゃん=夢介

主人公の夢介は「牛のようにのろまな」と表現されるキャラで、そう言われるたびあがちん(牛好き)の顔が浮かんで困りました。
ーーというのはさておき、夢介はのろまのようでいて頭が切れないわけじゃない。
スられてるのも騙されてるのも分かったうえで「人生修行」「芝居のようで面白かった」と見物料として大枚を払う。
「無駄遣いするなって言われたやろ!」とツッコミを入れたくなりますが、人生修行だからいいのでしょう、たぶん。

大らかにかまえて「いいものを見させてもらった」と言って金子を渡し、女に惚れられ、男を改心させ……。
「牛のよう」でありつつ「太陽のような人」でもあるわけです。
イソップ寓話の「北風と太陽」の太陽ね。

でも、ほとんどは結局親がくれた金で解決してるんかい!と言わざるを得ないんですが、舞台終盤の修行の終わりにはちゃんと金以外で解決も。
気は大きくて力持ちな夢介さん、だてに百姓をやってない、力仕事は大得意です。
腕はあるけどふだんは使ってないだけ。って、農具をふるうのとケンカでの強さは別モノじゃ……と言いたくなるんですが、これもさておく。
戦いでちゃんとした見せ場があって良かったわ。

押しかけ女房のお銀(ひらめちゃん)には1年以上指一本触れず、結婚して正式な嫁になるまでは……と距離を保つのもいいところです。たぶん。
遊び人飛脚屋の若旦那・伊勢屋総太郎(あーさ)とは大違いです。
女にもててもてて困っちゃうキャラ。咲ちゃん、わりとモテキャラやってますね。

咲きわはラブラブしててよかったです。2人に当てられにいく作品。

あーさ=伊勢屋総太郎

遊び人飛脚屋の若旦那・伊勢屋総太郎はあーさ。
「この顔、この声、この目力」で「もててもてて困っちゃうなぁ」と言いながら実のところさほどモテてはいない。うん、お金があるけど遣い方がね……ってところです。

公演プログラムに総太郎=バイキンマンと作・演出のダーイシが書いておられましたが、納得です。
困ったひとです。
夢介が助けてやったのもわからず「あんたのせいで恥をかいた」とか言ってるし。
(ちなみに夢介はアンパンマン、お銀はドキンちゃん)

でも許されるのは、その顔、その声と愛嬌ある芝居ゆえですね。

自分ちの女中・お松(ひまりちゃん)に手を出して、でも別の若い女・お糸(夢白ちゃん)が気に入ったから嫁にしようとして、婚礼のときはお松は宿下がりさせておけばいいや~くらいの軽い気持ちでいたら実は身籠っており、お松は1人で命を絶とうとして……。
というどうしようもない流れを夢介たちが解決に導いていくんですが、お松の妊娠と死のうとしていたことを知ったときの演技はよかったです。
それがダメだったら総太郎は本当にクズだからなぁ。

ちゃんと改心してくれてよかった。

あ、春駒太夫の愛すみれちゃんと縛ったり縛られたりしてるところは「同期でなにやってんのwww」って草生えましたわ。

  ⇓ 夢介(夢助)違いですが、お団子があったので。



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