『紫子-とりかえばや異聞-』を見たんだ・2

月組公演感想,月組

テレビで見た月組公演『紫子-とりかえばや異聞-』の感想。

・和物なので、扇を翻したりして踊るのがきれいです。
ショーアップされた演出もたくさんあって楽しいです。
「鬼」の場面なども迫力満点でした。

脚本は柴田侑宏先生、演出は大野拓史先生。
大野くんは日本物大好きな人だからな、さぞ気合いが入ったことでありましょう。

・主人公・紫子のきりやん。
はきはきぱっきりした話し方が懐かしい。滑舌が良すぎてちょっと妙な感じすらするところがとってもきりやんだわ~。
この、しっとりとした情感とは縁遠い話し方が、男勝りで竹のような性格の「紫子」にぴったりです。

でも京の遊女屋で風吹と一夜を共にし女になる移ろいはお見事でした。
風吹を舞鶴姫の閨に送っての、夜叉のごとき情念も。

舞鶴姫との心の交流も素敵でした。
同じ時代を、世の流れに翻弄されながら生きる女性のいたわりあいが心にしみます。

きりやんは紫子の兄・碧生役も演じてましたが、こちらは君主になるべく育てられた人物の大きさと上品さ、そして繊細な人柄が出ていました。
いい2役ですよね。

・2番手格できりやんの相手役・風吹にはもりえちゃんがキャスティングされてました。懐かしいわ、もりえちゃん!
体格的に、きりやんを相手に「男」に見えるのがまず大きい。
背が高くてスタイル良かったもんねぇ。

もりえちゃんのあたたかい人柄がにじみ出て、いい風吹でした。

・トップ娘役のまりもちゃんが演じた舞鶴姫。
原作では図太いほどにしたたかな中に悲しさをにじませた女性でしたが、宝塚版では繊細さや可憐さが強く出ていました。
きちんと育てられて品のある、賢さのある女性です。

原作のほうがキャラクターとしては面白いと思うけど、宝塚的にはこちらのほうが正解なんだと思う。
ただでさえヒロインを男役トップに取られてるので。
でもいい役ですよね。

・美味しいのは園加の丹波。かっこいい~!!
忍びですよ忍び!
ポジションとビジュアルで優勝してしまう。

相方ともいうべきちゅーちゃん・お香もかっこよくて色っぽくて、まさにはまり役。
見ながら「ちゅー様~~~~!!」ってなったわ。

園加とちゅーちゃんの2人が出てくるだけでテンション上がってたまらん。

・悪役・天野外記のマギーさんもほんとぴったりなハマり役ですわ。
体格、声のでかさ、濃ゆさなど、ありとあらゆる持ち味が悪役にふさわしい迫力につながってる。
悪役はちゃんと悪役してくれないと、主人公たちが負け戦をしたのが間抜けになるのでなぁ。

裏切者らしい憎々し気な雰囲気もしっかりあって、紫子たちの清さが際立ちます。

・忠実な家臣・金井定嗣はのちの花組トップスター・みりお。
可愛い~~~~~。でもやっぱり芝居は昔からしっかりしてる~~~~~。

嘘をつけない実直さや紫子への想いがしっかりと伝わってきて、だから敗将となった紫子と命運をともにしようとするのがしっくりくる。
紫子の恋人である風吹にゆずって、先に炎の中に飛び込むのもいい人だなぁ……と思う。

4