『宵ノ奏劇』感想

新宿は花園神社の神楽殿で行われた『宵ノ奏劇~芥川龍之介童話外伝~』を観てきました。
9月11日(金)と12日(土)の2回、どちらも19時開演、約1時間の舞台でした。

私は東の人間ではないので詳しくないのですが、花園神社は芸能にゆかりのあるところだそうで、そういう意味でも今回の試みはいいなぁと思いました。
私個人としては「花園」がブログタイトルとかぶるので勝手なご縁を感じております。こっちが後だし、ブログの「花園」は宝塚を比喩的に言ってるというベタなやつなんですけどね。

まずはお参りをすませます。ご縁があって、お邪魔致しますねぇと。

神楽殿は聖域、こういう催しに使われるのは今回が初とのこと。
開演前と終演後の撮影タイムは写真OK、SNS投稿もOKとのことです。

今回の作品は日本人ならおなじみの「桃太郎」をベースにした芥川作品の朗読と音楽を奉納するもの。
「奉納朗読」って言ってたっけな。(うろおぼえ)
神楽殿で奉納される朗読と音楽を、我々観客は外で聴かせてもらいます。席はパイプ椅子。自由席なので、早く行けば好きなところに座れます。
雨のときはレインコート着用ですが、ほぼ降られずにすみました。

花園神社の神楽殿という異界と、背後に聞こえる新宿の雑踏という現世が混じり合う。
クラリネットと三味線という異種なもののハーモニー、よく知られた「桃太郎」を別解釈することで変わる見え方。
ここに描かれた物語はただの物語ではなく、現実世界とつながっていると。
現実に世界各地で戦争が起き、日本とて軍靴の響きが遠くないのではないかと思う昨今で、何が正しいかを考えさせられます。

楽器は、クラリネットと三味線以外にも何種か使われてます。私は楽器に詳しくないのでわかりませんが、まぁ、太鼓とかいろいろ。演奏者さんっていろんな楽器を扱えて多彩だなぁ。

朗読のBGMとして、あるいは朗読の場面の間の空気を伝えるものとして音楽が使われていました。音楽を聴いてるときの、リズムを取ってるゆうひさんが可愛かったですね。

屋外での楽の音が心地よい。
朗読も素敵でした。

今回の朗読は芥川龍之介の、残酷で怖い「桃太郎」です。
英雄として扱われる桃太郎を、無辜の鬼を征服する侵略者として描きます。なにが善か、なにが正しいかは、語る人、見る人によって変わる。

合間に入る「ちょっと待ってタイム」(だったっけ?)というツッコミのトークタイムみたいなのも面白かったですね。物語の解釈も進みます。

ただ1点気になったところ。

この作品は、桃太郎は征服者、鬼は罪なくして蹂躙された者として書いている。
それに合わせて、よく知られた酒吞童子などの鬼ももしかしたら悪ではなかったのではないかと、鬼を悪として描いてきたのは人間側の、特に女性の一方的な見方に寄っていたのではないかと語られる。
それをもう少し現代人の我々にわかりやすく説明しようとしてだと思うが、「女性が被害を訴えたらそれが正しいこと、女性が被害者になるのは一方的すぎるのではないか、たとえば痴漢とか」と例を出したのは眉を顰めざるを得ない。

私とて、痴漢冤罪がないとは言わない。しかし、冤罪に比べて何倍も何十倍もあり暗数が多いのが性犯罪でしょう。
それを女性が多い客席に向かって「”被害者”側の一方的な言い分」として痴漢を挙げるのは、「お前らは黙ってろ」と言われた気分だ。
ましてやゆうひさんに「わかる気がします」と言わせた(本心かどうかは知らない)のには、さらに「お前らが騒げばご贔屓(推し)の迷惑になるんだからな」と言われているようで、非常に不愉快でした。

”被害者”側の言い分だけではわからない、の例としてなにも痴漢を選ぶことはなかったんじゃないですかね。ふつうの暴力沙汰だっていいでしょう。

さて、撮影したものを載せておきます。

まずは金曜日。この日は正面から。

そして土曜日。
この日は到着が遅れたので下手側に席を取りました。

気になるありましたが、素敵な舞台でした。
偶然東京に来られるタイミングで良いものを見させていただきました。

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