演出家・谷正純氏がお亡くなりに

宝塚歌劇団の演出家・谷正純先生がお亡くなりになったと報じられました。

谷センセイの訃報

劇団からはまだ公式には出てませんが(というか、劇団はこういうのをWEB上でほぼ出しませんよね)、とりあえず読売新聞と日刊スポーツ。

宝塚歌劇団の演出家・谷正純氏が死去、72歳…昨年の「ベルサイユのばら」手がける : 読売新聞

宝塚歌劇団演出家、谷正純さん死去 骨太作からオペレッタ、映画、時代小説…多彩な作品生み出す – 宝塚 : 日刊スポーツ

宝塚歌劇団は8日、演出家の谷正純(たに・まさずみ)さんが5日に亡くなったと発表した。72歳だった。

同劇団によると、通夜、葬儀はすでに家族葬として終えたという。お別れの会開催については「未定です」とした。

(日刊スポーツより)

あとはOGさんがちょこちょことインスタなどで伝えて下さっています。
元花組トップスターのタモさん(愛華みれさん)などです。
こちらには「お通夜のみ、参列を許され」「闘病」の文字がみえます。

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昨日、月曜がお通夜だったとすれば、劇団の生徒も休演日だからお別れがかなったでしょうか。皆となると人数が多いから一部の方だけでも。

谷センセイの作品について

皆殺しだのトンチキだの言われていたし、私も言ったし(書いたし)、実際そうだったと思う。
それでも好きだったよね、谷先生の作品は。

和物、特に落語物は外れがなくて、クオリティの高い作品を描いていたと思う。

洋物はなぜかトンチキが多くて、演目と担当演出家が発表されるとファンからの無言の悲鳴を感じることもあったが、なぜかジェンヌにはファンが多かった。

特に、雪組生はやたらに『CAPTAIN NEMO …ネモ船長と神秘の島…』が好きで、卒業時の思い出の舞台としてこの作品を出す人も多くて、(どんだけ雪組生、マトカ好きなんだよ)と笑ったのであった。
みんな家族すぎるだろ。
音楽学校の講師もされていて、作品のクオリティはどうあれ(失礼)、ジェンヌさんにとっては熱い指導を下さる恩師だったのだろう。

なぜ私があんなに谷作品を好きだったのかはよくわからない。
別に、演出家が宝塚に愛があるとかどうとかではないんですよ。
愛なんて、DVかます人だって語りますしね。
(というか、DV野郎やパワハラ・モラハラをする人こそ愛を語るよね、自己正当化と束縛のために)

ただ、谷作品はツッコミがツッコミで終わる、狂気はあっても作品から感じる人間性にはヤバさがなかった、倫理観がこちらの神経を逆なでしないものだったというのはある。

トンチキと落語の振り幅~迷作と名作~

なにぶん谷センセイの在団期間の半分も宝塚を観ていないので、昔のものはよく知らないのだけれど、トンチキが過ぎる洋物の作品は単なるへっぽこというにはあまりにもインパクトが強くて、腹を抱えながら見させてもらった。
それが失礼なのかどうかよくわからないが、数限りなくツッコミを入れながら見るのは楽しかった。そういう意味で『サン=テグジュペリ-「星の王子さま」になった操縦士(パイロット)-』や『CODE HERO/コード・ヒーロー』、『CAPTAIN NEMO』、『LOVE AND ALL THAT JAZZ』は大好きである。
迷作あるいはネタ作品として。

その一方で、落語ものは名作だった。
花組バウ『くらわんか』は最高でしたね。
そして星組大劇場の『ANOTHER WORLD』も。

落語以外の日本物も素敵でしたね。これはきっと若い先生ではああはいかない。
110期生文化祭の和物の演劇「吉野山・雪の別れ」もいい作品でした。

『ANOTHER WORLD』の冥途歌劇団のシーンでは『ベルサイユのはす』が来月上演予定で「植田紳爾近日来園って書いてあるで」という不謹慎なギャグが含まれていた
師弟なのか先輩・後輩なのか戦友なのかわからないが、仲がいいからこそのイジリなのであろう。
『笑点』の歌丸と楽太郎みたいなもんだ。

しかし、いじった本人が先に来園してどうする。

最後のお仕事は昨年の雪組『ベルサイユのばら フェルゼン編』の演出になるのかな。
病状が進行した中での演出だったと伺っております。
ご自身が大変な中で、宝塚や雪組、そして卒業する咲ちゃんたちのために力を尽くしてくださったということなのでしょう。

名作も迷作も、たくさん楽しませていただきました。
ヅカファンとしては、あの世でも「冥途歌劇団」があるかと思うと、心安らぐというか、いっそ楽しみになるくらいです。

ご冥福を。

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