
雪組宝塚大劇場公演『ベルサイユのばら-フェルゼン編-』を観てきました。
7月14日(日)11時公演、奇しくもオスカルの命日です。
だからといって特別なことはなかったのですが。(午後の貸切ならともかく、通常の公演ではご挨拶とかもないし)
さて、長年の宝塚の伝統芸能と化しつつある『ベルサイユのばら』ですが、かなり新演出や歌・ダンスが入っていました。
ダンスシーンは昭和を脱しましたね。それがいいかどうかはわかりません。「あのダンスが見たかったのに!!(例:薔薇タン、小雨、衛兵隊ロケット)」という方もおいででしょうから。
私は昔ながらの「ベルばら」に思い入れがないので、これはこれで楽しかったです。
今の雪組のメインキャストって主にダンスが強いから、現代的なダンスになってよかったんじゃないでしょうか。昭和のベルばら初演のころに求められてたダンスと、今のダンサーたちが得意とするダンスって方向性もなにもかもが違うだろうし。お客さんだって若い人がいるし……っていうか、いてくれないと困るわけで。
大幅に変わったのはフィナーレですが、2幕の初めのほうの「プロローグB」でロザリーとベルナールを筆頭に革命を求める市民たちのダンスシーンもあります。
ここは『1789』がはじまったのかと。
でも舞台のフレームは昭和的「ベルばら」なので、ちょっと面白いことに。
こういうの、ツッコミ入れながら見ると楽しいんですよね。
そう、あくまでツッコミを入れながら。
冷静に、ストーリーの整合性とか、登場人物の発言の妥当性とかを考えるとたぶん辛いです。ベルばらにあってはいつものことです。
第1幕は「歌舞伎やなぁぁぁぁ~」と思いながら、ストーリー、セリフなど深く考えずに場面の美しさを愛でておりました。
2幕はかなり芝居の度合いが高まって、「おおさすが」と思うところも。
さて、新演出の最たるものは、1幕のラストと2幕のパレード。
まず、1幕のラストはスウェーデンに帰国していたフェルゼンが王妃・アントワネットを救出すべくスウェーデン王宮から去るところ。
ハッチさん演じるグスタフ三世に送り出されて咲ちゃんフェルゼンは1階席通路を駆け抜けていきます。22列の前の下手扉前でいったん立ち止まり、国王に目で挨拶する。
これ、ぜったいに2階席の人は見えない。
舞台上にはスウェーデン貴族の皆様(といいつつ、メンバーはロココなフランスの方たちとかなりかぶっている)がいらっしゃるとはいえ、主人公の演技が見えないってどうなのよ。
客席数をきちんと数えたことはないけど、2階席がだいたい5分の2くらいはあるでしょうに。
そして2幕最後のパレード。
咲ちゃんの大階段降りの歌が「宝塚わが心の故郷」なのにびっくりしました。ベルばらの曲ちゃうんか!!
フィナーレ全体が、咲ちゃんのサヨナラショーだと思えばいいのか……?
そして噂で聞いて「どうなのよそれ」と思った、咲ちゃんが大階段を降りるときに雪組生がほぼ舞台上にいない演出。
これは、これで卒業の咲ちゃんに劇場中のファンの視線が一斉に集まるようにという植田先生の愛なんだろうなぁ。
(なお、ほとんどのジェンヌさんは大階段を降りた後に本舞台からハケて、再度1階通路から登場します)
ただ「愛ゆえ」としてもその演出がいいかどうかは別問題だし、観客がそれを受け入れなければいけないってもんでもないとは思うけど。
少なくとも2階席の人は文句を言う権利があるだろうよ。咲ちゃん以外のジェンヌさんのファンだって少なくないんだしさ。
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