東京ロミジュリAパターンを見たんだ・3

星組公演感想,星組

星組東京宝塚劇場公演『ロミオとジュリエット』千秋楽の、芝居の感想なども残しておきます。

●千秋楽のアドリブとか。

・くしゃみするロミオ。
ついにタンポポの綿毛でくしゃみしました。
3ヶ月分のくしゃみ、さぞすっきりしたことでしょう。

・「大丈夫かしら」と乳母に言われて力こぶをつくるロミオ。
後ろを向いたりして3回くらいやってました。
めっちゃ筋肉アピール。のほほんとしてても治安の悪いヴェローナ育ちだもんな。

・アドリブではないんでしょうが、全体に演技が熱くてくどくて濃かったですね(笑)。
千秋楽スペシャルって感じで。

「男ぶりも~ォッ⇑」って歌い方が濃くなってるあかさんパリスには笑いました。
「息子と呼ぶ日が」でパリスの肩を抱くキャピュレット卿も力強さが増して、パリスの嫌がり方も増してた。

・残念ながら東京公演の休演者がいたのですが、おかげで代役のレアなものが見れました。
元々B日程のみの出演だった天飛くんが代役としてA日程にご出演。
で、Bでは出てなかったロケットにも出てた。

めっちゃ元気に踊ってたわー。
笑顔も体格もパーンとしてて見てるこちらも元気になるってなもんです。

●ことなこのデュエットダンスは東京千秋楽も絶好調でした。

舞踏会でのデュエットダンスでここまでユニゾン感出せるロミオとジュリエットってこれまでいましたっけな。
ことなこの2人とも超ダンサーだからすごいわ。
片方がさほど踊れなくても息ぴったりなコンビはたくさんいるけど、両者に技術が伴うととんでもないことになるもんだ。
「2人ともラブラブね~💕」みたいなのを超えて、完全にショーの見せ場になるもんね。

フィナーレでもことなこのデュエダンは波長の合い方がすごい。
あのすごいテンポでぴったり合うなんて。
爆踊りで銀橋も踊りながら渡って、とんでもないもん見てるなぁという気持ちになってしまう。

●Aパターンではやっぱりぴーすけさんの死がめちゃくちゃ面白いんですよね。
大劇場公演の配信もよかったけど、東京楽の配信もまたちょっと違った印象を受けた。

ぴーすけさんの死は、幼子から徐々に邪悪なものに育っていくようなところがすごく好きなんです。
「死」というものの成長に目が離せない。

冒頭、ぴーすけさんの死は柔らかくて、愛にもなれそうな死。
ほんとうに愛と死は表裏一体なのかもしれないと思う。
まだ、自分が何者なのかわかっていない。欲のありかもわからない。

醸しだす雰囲気が純粋なんだ。
ミルクを求めて母親の乳首を嚙み切ろうとする赤子のような残酷さも含めて。
「憎しみ」のときは憎悪という感情を知らず、ふしぎなおもちゃを手慰みにしているようでもある。

しかし彼が生まれたのはヴェローナ。
両家が流す血を乳として、残忍な顔に死は育っていく。

2幕初めではマリオネット使いみたいな動きをする。
死としての自らの力に自覚的になっている。
人の運命を弄ぶこと、苦しめること、魂を美味として味わうこと……欲に、喜びに目覚めていく。

マーキューシオ、ティボルトの魂を得て力を増し、ロミオを、そしてジュリエットまでも飲み込み。
けれどモンタギュー、キャピュレットの両家の和解に、死にとっては思いもよらぬ苦しみを得る。
苦しみのうちに愛と近づいていくさまが、「かれの冒険はまだこれからだ!」という別の物語への途上を感じました。

●愛ちゃんのティボルトは「恋する男」にかなりのウェイトがおかれていて、ジュリエットに焦がれる切なさに見ごたえがありました。
男役として、正統派すぎるほどに正統派なティボルト。
甘く熱いティボルトで、「宝塚」であることを前面に出していました。

フィナーレではスター・愛月ひかるとしての色を存分に出してましたね。
「客席の女、全員抱く」
みたいな感じが楽しすぎる。
なんなら男の人だって勝手に抱かれてる。

笑えるほどに色気をビッシャビシャに出してるのが気持ちよかったです。

6