ことなこ版ロミジュリBパターンを見たんだ・5

星組公演感想,星組

・こっちゃん主演版の星組『ロミオとジュリエット』Bパターンで面白かったのはあかさんのベンヴォーリオも。
こちらも今までのロミジュリとは違うキャラ設定でしたね。

ベンヴォーリオって過去作ではお兄ちゃんポジだったと思うんです。
命を落とすマーキューシオやティボルトとは違い、血気にはやるキャラじゃない。
どちらかといえば温厚で、行きすぎるマーキューシオをたしなめたり、ちょっと見張っておくような感じもあったり。
ロミオの母に言づけられるくらい、ある程度の信用と人の好さがある。
「どうやって伝えよう」のソロナンバーで見せる責任感もある。

でもあかさんのベンヴォーリオは、ちょっと間が抜けていて鈍くさいというか、めんどくさいことを押しつけられがちな不憫な少年にみえました。
で、弟系なのね。雰囲気が若い。
ロレンス神父に「粗忽者」呼ばわりされるのも納得です。

間が悪い感じのベンヴォーリオだから(ロミオのお母さんに取っつかまっちゃうとことかさ……マーキューシオは余裕で逃げるタイプ)、マントヴァでの失敗もこれまた納得です。

「どうやって伝えよう」の困惑ぶりも胸が痛い。
だって、まだ彼も子どもなんだよ。
それなのに、ものすごい責任を(ある意味勝手に)背負って、がんばって進もうとしてるんだ。
(あかさんの歌がいいんだ、また……)

だから彼はマントヴァに向かうんだけど、ジュリエットが死んだことを伝えても、そのままガッとロミオを掴んどけばよかったのに。
傷心のロミオをいたわって1人にしたのが裏目に出たんだろうなぁ。

あかさんベンヴォーリオはとても傷ついた少年で、それだけに友を2人も亡くしたことが痛々しく見える。
でも若い分だけ今後の成長に期待したくなってしまう。
きっと大きくなってもどこか鈍くさくて人の好さがちょっと裏目に出たりするんだろうけれど、
モンタギュー家とキャピュレット家が和解したヴェローナならなんとかなるんでしょう。

・くらっちの乳母もまたいい出来でした。
学年は若いけれど、若いなりに包容力や温かさがある。
正直なところ、このクオリティーで演じてくれるとは思っておらず……不明を恥じました。

くらっちは歌唱力が高く、娘役にしては低音も出る人。
それだけに、音域の広い乳母のソロもきれいに聴かせてくれました。
低音でドスを利かすこともできるし、高音へうつるのもきれいなんですよね。

「ロミオなんざ、パリス様に比べれば雑巾ですよ!」
強くジュリエットに言う一方で、向けてない顔では本心をにじませる乳母。
この表情の使い分けもうまくて、演技力が上がったように感じました。

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