「あやめ色の心」はあやめAのありすちゃんを中心にあやめの娘役たち、蝶の有絢さんと空良くんの踊り。
和傘の開閉が蝶のはばたきのように美しい。
ありすちゃんはついこの間までたけふでヒロインしてたわけで……お忙しいわ。
練習の時間だって大変だったはずなのに、きれいだし上手いし、娘役は愛と美と筋肉と根性だ。
「舞い踊る蝶よ」では青天に紫の病鉢巻の翼くん。
歌劇の世界ではけっこうめずらしいいでたちのような……?
歌舞伎の「保名」を踏襲した出で立ちなんですね。
翼くんが演じた「保名」について。
保名ですぐに思い浮かんだのは安倍晴明の父で信田山の葛の葉狐と恋する人だったんだけど、その前に別の女性(榊の前)と恋してる話があるのね。
木原敏江の『摩利と新吾』の紫乃さんが謳ってた「われ中空になすな恋」のアレかぁ!とスコーンとハマったわ。
歌舞伎の「保名」をきちんと見たことはないんだけど、恋しい人を亡くして物狂いの保名が番の蝶を羨むところがあるらしい。だから有絢さんと空良くんの蝶が出るのか。
そして蝶はいろんな文化で霊魂の象徴でもある。
でも今回の蝶は千咲さん演じる亡くなった女性の霊魂というより、保名を黄泉へ誘う妖しいものという感じがした。
その理由のひとつは確実に空良くんの妖しい美しさにあるよね。
すごい耽美属性だわ。
最後は幻の女が消え、保名が傘を突き崩して幕となる。
蝶が見せた幻から保名は現実に戻るのだろうか。
幻の姿すら失った保名の嘆きが哀切である。
一転、「まつり」の景に。太鼓をたたく男役たち。
そこから江戸風の――と思ったけど髪型は現代だな。
かっこいい人たちなんだけど、正直なところ髪型のせいかビジュアルは今一つな気がする。
いや、私の趣味じゃなかったというだけかもしれないが。
日舞レビューは白藤様の踊りが素人目にも「なんじゃこりゃあぁぁ」ものでした。
白藤様の日舞はさ、上手いとかすごいとか通り越して怖かったよ……。
なんか1人お師匠さんがいる!とも思った。
他のみなさんだって日舞がお上手なはずなのに、白藤さんの存在はすごいわ。
華月さんのコミカルな「虫送り」がいきなり斬られて合戦の場面になる展開は驚いたわ。
鮮やかですね。
こういうの見ると、「うわ、舞台が生きてる!!」って思うんです。
生の舞台ならではのダイナミズムです。
虫送りも「さねもりさん」も知らなかったので、舞台を見るといろんな知識が増えるな~。
調べて、実盛は元は白髪を染めて出陣・討死した人だと知る。
このエピソードは子どものころに読んで知ってました。手持ちの知識と新しい知識がつながるのって快感だわ。
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