
正直なところ、初日は物足りないと感じた芝居が、5日に観たときにはかなり温まってる感じがした。
舞台上のジェンヌさんの間合いや熱意、小芝居で隙間を埋めていくタイプの話なのかもしれない。
レイモンド・ブルー/キキちゃんのこと
芝居もショーも銀橋から登場するキキちゃん。
芝居は銀橋を渡って、ショーはオーケストラボックスから。
銀橋の終わりあたりで手袋をくわえて外すところは見どころです。
レイモンドはけっこうな甘ったれたボンボンですが、それが憎めないのはキキちゃんの愛嬌ゆえか。
甘え上手な愛されキャラ。
衣装の着こなしの良さに、レイモンド自身の育ちの良さや品が見えるのもいいところ。
ところどころ、過去作を思わせる箇所や、あえて入れたんだろうなと思う設定がちりばめられてましたね。
キキちゃんのレイモンドは『Ernest in Love』のアルジャノンとか、『ME AND MY GIRL』のジェラルドとかを思わせる感じ。
芝居で奴隷をやってるところは『金色の砂漠』も思い出しました。
キキずんのバディ感は『オーシャンズ11』だろうか。
あれもかっこよかったですね。
シャーリーン・ムーア/もえこのこと
もえこ演じるシャーリーンは、レイモンドの元彼女で、レイモンドがやってる賭けもばらしてしまう困った人。
裏表もデリカシーもないが、突き抜けすぎていて憎めない。
お金目当てなのもわかりやすい。
男役がやる女役、ですね。
『ME AND MY GIRL』のジャッキーとか『雨に唄えば』のリナとかみたいな感じ。
制作中止を知った中で続ける『バビロンの落日』の撮影での歌が見事。
歌にコスモ・ピクチャーズの終焉も滲ませながら、トップ女優としての意気と実力を見せる。ただのお騒がせ女優じゃないという、シャーリーン自身のかっこよさも見せられてよかった。
場に応じてかっこよくもコミカルにも的確に演じられるのはもえこの良さ。
星組行きは驚いたけど、活躍してくれますように。
その他いろいろ
エキストラ立候補の場面、
ひなこ(オリバー)がボクシングなのは『MY BLUE HEAVEN-わたしのあおぞら-』、
キョロ(ミッキー)がレスリングなのは『NEVER SAY GOODBYE』、
こってぃ(カイル)が「喧嘩なら負けたことない」というのは『HiGH&LOW-THE PREQUEL-』を踏まえたものなんだろうな。
・『バビロンの落日』リハーサルで王様に紙吹雪をかける奴隷キョロちゃんの表情が面白すぎた。楽しそうというかなんというか。
・舞台上で男役がみんなハムスターになってた(違)
滑車をくるくる回す男役の図が貴重すぎる。
キキちゃんレイモンドのキレ方もまた良し。
・ヘレン・タッカー=おさよが昔の外国映画に出てくる人みたいですごくいい。
コスモ・ピクチャーズの窮地を報じるテレビのところなどですね。
・るのの助監督・マイケルもとてもいいあんばいの演技。
真ん中をジャマせず、監督の無茶に応じてちょこまかと走り回るのがいかにも。
この程よさというのも職人芸だ。
・レイモンドの執事にしてクラブを赤字経営し続けるフランク=なっつ。可愛いキャラだ。
ミーマイのパーチェスターさんみたいな感じですね。
・今回でご卒業のひろこ。どこまでも美しいわ。
芝居中のショーシーンでも、フィナーレでもダンスの見せ場があってよかった。
・フィナーレの男役群舞はこってぃとナニーロさんが組んでくれるのでウハウハよ。
・ロケットは105期のりせなるがメインを張ってて、ダブルでいろいろやるのが面白かった。
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