五輪閉会式にタカラジェンヌが登板、国歌斉唱した件について

心のざわめきが収まらない。
気持ちの落ちつけどころがわからない。

東京オリンピックの閉会式に真風、こっちゃん、かれーちゃんをはじめとしたタカラジェンヌが登場し、国歌「君が代」を斉唱した。
タカラジェンヌらしく緑の袴にあでやかな着物姿の生徒さんたちは凛々しく美しい。
いつもどおり美しい。

トップスター以外のメンバーは映像ではよくわからなかったけれど、花組・星組・宙組の選抜メンバーが出演していた。
トップコンビを含めた出演者全20名は以下のとおり。
日刊スポーツ

  ・花組▼柚香光▼星風まどか▼水美舞斗▼永久輝せあ▼音くり寿▼聖乃あすか

  ・星組▼礼真琴▼舞空瞳▼愛月ひかる▼瀬央ゆりあ▼有沙瞳▼小桜ほのか

  ・宙組▼真風涼帆▼潤花▼芹香斗亜▼桜木みなと▼和希そら▼遥羽らら▼瑠風輝▼天彩峰里

全体に、歌のうまいメンバーだ。
20人中8人が娘役というのも、男役尊娘役卑傾向のある宝塚にしては珍しい。
ある意味、「全世界」向けに調整したのだろうか……と勘ぐってしまう。嬉しいことです。

でも、オリンピック閉会式の出演については喜べはしない。

本来なら、国を代表しての立場で全世界に発信できるのは名誉なことなのだと思う。
本来なら。

けれどコロナ禍。
ジェンヌさんたちの健康リスクに考えが及ばざるを得ない。

稽古場も密にならないように、人と会わないように、食事も単独で取るように、ほかにもいろんな制限をされているタカラジェンヌたち。
公演の幕が上がるよう、ふだんは過剰とも思えるほどの不便を強いられているのに、このようなときは越境してまで「出す」のだ。
気をつけてはいてもリスクはあるのに。

そして緊急事態宣言その他で実際に公演がクローズしたこともあるのに、こういうときは「出す」のだ。
現政権が(前政権も)文化芸術をどれほどないがしろにしているかも感じている。
それでも、こういうときはタカラヅカを使う。
きれいで、若くて、伝統があって、独自性があって、文化的で、清潔で……というあらゆる美しいものの象徴として。

オリンピック閉会式に出演したタカラジェンヌ個人を云々することはできない。
阪急の社員として、拒否権などないだろうし。
それに、彼女らの姿を見て喜ぶファンも多いはずなのだ。
ファンのことも思いながら、誠心誠意、閉会式の一幕を務められたことであろう。

暑い最中に振袖に緑の袴姿でさぞ大変だろうと思う。
どうぞ、ご無事でムラに帰られますよう。

彼女らをオリンピック閉会式に出した歌劇団については―――――これも複雑な気持ちである。

オファーのあと、断ることのリスクも考えざるを得ないだろう。
どのくらいの影響があるのかは、私ごときにはまったくわからないが、相手も権力側である。

だから「タカラジェンヌをコロナ禍から守ろうとしないなんて!」とも「宝塚サイドも断りにくいよね、相手が相手だし」とも思いきれないし、かといって「全世界にタカラジェンヌの素敵な姿が披露されてハッピー」ともならないのである。
というか、それらが渾然一体となっているとでも言おうか。
心はぐるぐるぐちゃぐちゃである。

カオスパラダイスな(全然パラダイスじゃないが)心の中に、「まぁ、阪急だからなぁ」という、幾分冷めた気持ちもある。

宝塚歌劇は今年107期生の初舞台を迎えた。
ということは、およそそのくらいの歴史があるということだ。
大正2年から始まり、戦前・戦中・戦後を生き抜いてきたものすごい劇団なのである。

その歴史のなかには、当然、当時の権力機構などとのあれやこれやもある。

しょせん私は若造なので(ヅカファン比)、戦前・戦中を生きているはずもない。
けれど、宝塚の歴史をいくらか紐解けば、阪急やタカラヅカがそうそうピュアでもイノセントでもないというのは感じる。
代表的なところでは『翼の決戦』でしょうが――(観たことないけど)。

それなりに権力とあーやこーやで、ときには距離を置きつつなんやかんやなんとかして、そして100年以上生き抜いてきたわけで。
理想はともかく、あまりに潔癖でも世の中をうまく渡っていくのは難しかろうしなぁ……。

なんだかんだ、したたかにやっているのではないかと思いますよ、劇団は。

と、美しい方たちの五輪閉会式出演を喜べないのがもどかしいのであるが、まずはほんと皆さんご無事でご帰還されますように!!と祈りを込めておきます。

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