
極美くん主演の星組バウホール公演『にぎたつの海に月出づ』のライブ配信を見ました。
2月4日(火)11:30公演です。
ライブ配信は平日の真昼間に
千秋楽に合わせてくれたんだと思うんですが、正直なところ、平日のこの時間って大多数の勤め人には辛い時間帯だと思うぜ……。せめて午後1時からなら半休ですむのに、まる1日休む羽目になってしまう。
収益的な面でもどうなのかしら。平日のこの時間だと見られる人も限られるのでは。
かかる費用は別の日時でもあまり変わらないと思うし。
それでも、組替えが決まっている極美くんのことでもあるし、千秋楽だからこそのご挨拶もあるしで、配信してくれたことはありがたいです。
昔はチケットが取れなかったらそれまでだった作品を、こうしてリアルタイムで見られるがゆえの贅沢から要求が大きくなっております。
演出の平松先生のこと
さて、この作品の作・演出は平松結有先生。バウホールデビューです。おめでたい。
過去には宙組の『カジノ・ロワイヤル』や花組の『アルカンシェル』の新公担当などを務めています。
ご出身は慶応義塾大学総合政策学部。学生時代もがっつり宝塚歌劇の研究をされてきた方です。
2016年度に大学4年だったから、今は30代前半くらいかな?
前にミライ演出家の生田先生の回でいっしょにテニスしてた人でもあります。
体力大事よねぇ……(しみじみ)。
スピーディーでわかりやすいストーリー展開、心情の描き方、画の美しさ、配役の妙、男役同士の萌えなどなど。
デビュー作としてじゅうぶんな素晴らしさでした。
演出と史実
寶皇女=皇極天皇・斉明天皇のいた飛鳥時代は『あかねさす紫の花』を筆頭に、『飛鳥夕映え』『鎌足』など宝塚歌劇の作品で何度も描かれています。
そこに突如投げ込まれた、中大兄皇子の父親が百済系渡来人という演出。
ヒロイン・寶皇女が産んだ中大兄皇子(のちの天智天皇)の父が主役・智積とする作劇はいかにも宝塚です。
が、そもそもこの時代に私はあまり詳しくないので、ウィキ先生その他でぐぐって調べました。
そうしたら気になるネタが出るわ出るわ……。
寶皇女の最初の夫・高向王(さやかりんちゃん)が渡来系の人物の可能性がるとか、中大兄皇子はたしかに舒明天皇の即位前に生まれてるとかあって、おもしれーーーー!!!
まず寶皇女は、舒明天皇の皇后になる前に「高向王」(さやかりんちゃん)との間に「漢皇子」を儲けている。
「高向王」という人物もはっきりしないところがあるようだが、渡来人系とも考えられるらしい。
なにせ夭折した「漢皇子」という子どもの名からしても、また「高向」という名からしてもその可能性が高いんですよね。
(渡来人系の学者の高向玄理とかいたでしょう)
寶皇女が中大兄皇子を産んだのが西暦626年、舒明天皇が即位したのが西暦629年、舒明天皇の皇后となったのが西暦630年。
高向王と別れた後、舒明天皇の皇后となるまでの期間、寶皇女がどうしていたかも不明。
ぶっとんだ設定なりにきちんと不可能ではないラインで描いているんだな。
史実をうまく踏まえて作られてたのね。
もっとも大海人皇子の生年自体明らかじゃないし、大海人皇子=(夭折したとされる)漢皇子説まであって、うああああとなった。
あと寶皇女と田村皇子が同一人物説とか、双子説とかいろいろあるわよ。奥深すぎる。
歴史書(日本書紀・古事記)はだれがなんの目的で書いたかという問題と切り離せないので、書物に書かれたこと=史実とはいいがたい。
けれど、うまく宝塚らしい物語に引っ張って行ったなぁ。
好きだった演出
つい歴史的なところに引っ張られそうになるんですが、それはそうと演出として素敵だったところ。
まずポスターの、寶皇女が智積の肩に頭を乗せるさまを1幕で見せてくれたのがよかった。
絵的に少女マンガっっ。
・にぎたつに船乗りせむと……の歌の扱い。
熟田津(にきたつ)に船乗りせむと月待てば潮(しほ)もかなひぬ今は漕ぎ出(い)でな
これは斉明天皇が四国の伊予の熟田津へ行宮され、そこから九州へ渡る時に額田王が詠んだとも、斉明天皇が詠んだともされる一首です。
新羅へ出兵する際の、先の船の航海の安全を祈願しての呪術歌です。言霊ですね。
この歌を、流刑のような扱いで百済行きの舟に乗り込む智積の歌に転換したのが上手い。これは痺れました。
千秋楽なので
千秋楽なので、公演の長と主演のご挨拶がありました。
公演の長は組長のみきちぐ。
今後の予定などにも触れ、極美くんが花組に組替えすることにも触れました。
聞いた極美くんが泣くのをこらえてるように見えましたね。
極美くんは専科のまりんさんにお礼を述べる際に客席に後ろを向けて滔々としゃべるものだから、まりんさんに「前向いて」という感じで手で指示されてました。
星組パッションもやりましたよ。
「礼さんに届きますように」と始め、「できましたー」で締める極美くんの可愛さたるや。
星組生、みんなこっちゃんのこと好きだな。
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