『MY BLUE HEAVEN -わたしのあおぞら-』感想・4

田島房江/おさよ

今回、芝居で一番泣かされた人。

房江に戦争で亡くなった夫との間に子どもはなく、寂しく暮らしていたところ戦争で出征した大切な甥との再会を喜ぶ。
しかし、その「甥」は上杉の差し金で瓜二つのジョーイがなりすましたもので……という、ありふれた話ではある。
房江自身、自分が騙されていることは承知の上でジョーイと養子縁組をし、家族ごっこを続けるつもりでいたのに、ジョーイが自らペテンを告白したことで関係は決裂する。

「知ってたさ、知ってたよ」
「ペテン師ならペテン師らしく最後まであたしを騙しておくれよ」

泣くわーーー!!

とてもよかったのは、房江の口調。
ジョーイと食事をしたり孤児たちに踊りを教えたりしているときはとてもおっとりした話し方をしている。

それが、ジョーイの告白により「家族ごっこ」が崩壊するに至り、きっぱりとした話し方になる。この話し方がとても房江の差し迫った状況と房江の内面の重層性を見せる。

上杉健吉/どってぃ

どってぃがしゃべった!!

というのが第一の印象である。そうか、どってぃにも大きな悪役が回ってくるようになったか……。

正直なところ、あまり芝居は得意じゃないのかな。
セリフ回しも独特。
でも現地で観たときより配信のほうがねちっこさが上がっていて、それが悪役としてのいやらしさにつながっていた。
まぁアレだ、演じる人によってはびーえる展開を脳内で繰り広げる役になるところだ。

有田孝明/ヨネちゃん

ジョーイの戦友で、元はボンボンの有田。

元が甘ったれのボンボンらしく、恩人でもあるジョーイを売るような真似をしでかすわけだが、そのどうしようもない小者っぽさが上手い。まぁいますよねこういう人、というリアリティがあるのである。
かっこよくない人をちゃんと演じられる人がいてこそ、舞台に厚みが出るのである。

最後は救いがあってよかった。

ほかいろいろ

下級生に、なにがなんでも役をつける!!というサイトーくんの意気込みを感じた。
子役の集団って「集団」の域を出ないことが多いけれど、ちゃんと性格を見せてくるセリフがあるのがいい。

・君が……子役だと……?とつっこみたくなるようなシュッとした顔の男役さんがいたよね。風翔くんかな。
子ども歌舞伎で声が裏返る芝居は笑った。
現地で観たときより、配信のときのほうが子どもとしてしっくりきてましたね。

・花恋さん可愛い。けどけっこう大きいな。
彼女は『PAGAD』で新公ヒロイン予定だったんですよね。リベンジはあるかしら。

・刀根一(ハジメ)のナオレート氏。いい役だ。
花のだいやに似てると言われてあーーーーーなるほどーーーーーと思った。湿度のある暗さが似てるのかも。

・探偵コンビのダニエルりせとナンシー風羽さんはなんとも言いようがない役で……。ちょろちょろするわりに本筋に絡むというほどでもないしなぁ。
でもそのしどころのなさを、突発的なアドリブシーンにして笑わせてた。

・冒頭から歌手役で出てくるちっち。なぜにちっちが歌手!(失礼)
いや、『カジノロワイヤル』新公よりは上手くなってたような。
そして彼女だけは大人になっても、子ども時代もともに本人が演じるのであった。可愛かった。

・房江の代わりに踊りを教えてたお米ちゃん(楓莉さん)、しっとりしてていいねぇ。

・響くん、歌あるのいいわね。若手の歌を聴けるのは貴重。

・『大海賊』配信でも思ったけど、宙組は上から下までほぼ歌が上手い。すごいことだ。

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