歌劇団改革の進捗

12月12日に、「宝塚歌劇団の改革に向けた取組の進捗状況について」の追記が劇団から出ました。

追加されたのは下記部分かな。

出演者用食堂のリニューアルおよび出演者の利用無償化【2025 年 1 月より実施予定】
身体のコンディション向上の必要性が高い出演者の健康増進を目的として、宝塚大劇場にある出演者
用食堂をリニューアルし、管理栄養士監修のもとで健康志向の食材を用いたメニューを提供するとと
もに出演者の利用を無償化します。

2025 年 1 月からは主に若年層への支援施策の一環として住宅補助手当を導入予定です。

人間の生活に欠かせない衣食住の食・住の部分ですね。
劇団員にとってはとても助かる内容かと思います。

タカラジェンヌの給料は公表されてませんが、あまり高くはないらしい。
それでいて、かかる費用というのは大きい。

ジェンヌさんは現役時代はすみれのベールにおおわれた夢の世界を壊さないためか「お金がない」とはファンには言わない。
しかし、「内実はいろいろ大変なんだろうな」と思うことはありました。

OGになってから「実は……」と打ち明ける元ジェンヌもいる。
質素に過ごせば暮らしていけるお給料がもらえて、入団すればよほどのことがないかぎり舞台に立てる保証とアルバイトをかけもちしなくてもよいというのは、日本の舞台人にとっては恵まれた環境ともいえる。

しかし、実際に「質素に暮らす」というのがタカラジェンヌとして可能かどうか。
入り出の様子もSNSでアップされ、稽古場の様子なども放送される。人目を気にするなら、あまりに安物の服は着づらい。
劇団以外での自己研鑽のための舞台鑑賞や外部レッスン、心身の健康状態を維持するためのマッサージなども必要だ。
美を売りにするだけにヘアケア、脱毛なども気を遣う。

さらに娘役はカツラやアクセサリーなどが必須で実質的に費用の持ち出しが必須となる。
路線に乗っていればスカステや歌劇・GRAPH・カレンダーなど雑誌等メディアでの露出も多いため、そのたびに衣装が必要になる。同じものは着づらい。

社交のためのプレゼントもあるし、オフ時の組内イベント(バーベキューとか)にお金がなくて参加できなかったと告白した元ジェンヌもいたおぼえがある。

もうかなり前に退団されてOGになった方の話で、チケット取次の際、「ぜったいにお花代をお願いします」と書き添えられていることがあった。
その方はいわゆる路線ではなくお付きの方もおそらくおられなかったし(たまにお母さまがお手伝いされてた)、宝塚に入ること自体もご家族から応援されてたわけではなかった。だからチケットの采配含めたファンとのやり取りもご自身でされていたらしい。
なので「お大尽じゃなくてすまんね」と思いつつ、ふつう程度のお花代はつけてましたが……。

今は知らないが(たぶん今も大差ない)、昔はすみれ寮にいられるのは研いくつまでという決まりがあった。せいぜい新公学年までだったと思う。
そうなると劇団に通うための部屋を借りなければいけないが、お金がないためか仲のいいジェンヌと同居していたという話も聞く。組が違えば生活のスケジュールも違うし、片方が東京公演中なら部屋はゆっくり使えるので案外便利かもしれない。
とはいえ、薄給(と決めつけてすまん)の身での家賃負担は大変だ。
ただでさえ若い女性で、セキュリティ面に不安のあるところには住めないだろうし。

そんなこんなで、宝塚歌劇団に入団する以上に、タカラジェンヌであることを続けられる人は実家が太い人が多い。上級生娘役なんか特にそうなんじゃないかな。

タカラジェンヌの生活というのは、かなり実家やファンのサポートありきになってる部分はあると思う。そうなると、夢の世界に住み続けるにも自分の気持ちだけではどうにもならないし、ファンのサポートありきになるとそちらに振り回されかねない。

今回の改革により、少しでもジェンヌさんが安心して舞台生活を続けられるようになるといいな。

(追)宝塚歌劇団の改革に向けた取組の進捗状況について
2024.12.12

※参照先ページ「宝塚歌劇における改革の取組について」を更新いたしました。【2024年12月12日】

阪急阪神ホールディングス株式会社、阪急電鉄株式会社および宝塚歌劇団では、2024年3月28日に「再発防止に向けた取組(劇団の改革)について」を公表しましたが、その後の取組の進捗状況につきましては、今後こちらのページで随時情報を更新してまいります。

引き続き宝塚歌劇を新しい時代に相応しい形へと発展させるべく、全力で改革に取り組んでまいります。

2024年5月14日
阪急阪神ホールディングス株式会社
阪急電鉄株式会社
宝塚歌劇団

2024 年 5 月 14 日 時点
2024 年 6 月 12 日 更新
2024 年 10 月 8 日 更新
2024 年 12 月 12 日 更新
宝塚歌劇における改革の取組について
宝塚歌劇団および阪急電鉄並びに阪急阪神ホールディングスが連携して、以下の改革に取り組んでいます。
1. 興行計画の見直し(興行数・公演回数の削減)
興行計画を見直し、より安心・安全な環境下で、一層充実した舞台をお届けできる体制を整備します。
① 年間 9 興行から 8 興行体制への変更【2024 年 1 月より実施済】
公演間のインターバル(東京宝塚劇場公演の千秋楽から次の宝塚大劇場公演の稽古開始までの間隔)を
約 2 週間延ばすことで、出演者の体調の維持管理に努めています。
② 1 週間あたりの公演数を 10 回から 9 回に変更【2024 年 1 月より実施済】
昨今の振付や音楽等の高度化に伴う出演者やスタッフの負担を軽減しています。
2.組織的なマネジメントやサポートを強化するための体制・システムの整備
現場のサポートやケアを行う体制・仕組みを強化し、出演者やスタッフが良好なコンディションのもと活動
に打ち込める環境を整備します。
① 稽古スケジュールの見直し
興行計画の見直しと併せて、稽古期間を延長し、舞台稽古の日数を増やします。
稽古の進行にあたっては、劇団員や演出家、スタッフが対話をしながら、より良い舞台をお届けできる
環境づくりに努めております。出演者同士の指導についてもスタッフが今まで以上に積極的にサポート
するなど、稽古の進行について合理化を図っています。
② 新人公演の実施日程・運営方法の見直し
・宝塚大劇場の新人公演の実施日を従前から 1 週間遅らせる(初日から 18 営業日→23 営業日目安)
とともに、本公演の準備に集中できるよう、新人公演の稽古開始日を本公演初日後の休演日翌日から
とします。【2024 年 7 月雪組宝塚大劇場公演より実施】
・出演者が担当していた一部業務(稽古準備等)を各セクションのスタッフに振り分けるなど出演者の
負担を軽減しています。【2024 年 1 月雪組東京宝塚劇場新人公演より実施済】
③ 活動時間管理の強化【2024 年 4 月より実施済】
劇団施設への入退館時間の管理を強化すべく、宝塚大劇場楽屋口にセキュリティゲートを設置し、入退
館時間を記録するとともに、入館時間を遅らせ、退館時間を早めることで在館可能時間を短縮しました。
変更後の在館可能時間を遵守しながら稽古・制作を進行しております。
④ 劇団員の心身の健康管理体制の強化
・常設カウンセリングルームの開設【2023 年 11 月より実施済】
2名のカウンセラーが交代で週 3 日駐在しています。
公認心理師、シニア産業カウンセラー等の専門資格を有するカウンセラーが週 3 日駐在し、劇団員の
メンタル面のサポートに努めています。従来は電話、メールにより予約を受け付けておりましたが、
より安心して相談ができるよう、WEB での予約受付を開始しました。
・専門医への相談ルートの拡充【2023 年 10 月より実施済】
・診療所医師の勤務時間拡大【2024 年 1 月より実施済】
・常駐医師の増員【2024 年 6 月より実施済】
・出演者用食堂のリニューアルおよび出演者の利用無償化【2025 年 1 月より実施予定】
身体のコンディション向上の必要性が高い出演者の健康増進を目的として、宝塚大劇場にある出演者
用食堂をリニューアルし、管理栄養士監修のもとで健康志向の食材を用いたメニューを提供するとと
もに出演者の利用を無償化します。
⑤ 現場の問題を把握し、意見を吸い上げる仕組みの強化
・劇団専用の外部相談窓口の開設【2024 年 2 月より実施済】
相談窓口担当の弁護士(おもに女性弁護士)に相談でき、内容に応じて事実関係を確認・調査できる
体制を整えています。
・各種相談窓口(既存相談窓口を含む)の周知徹底【2024 年 2 月実施済】
2024 年 2 月に全劇団員に向けて周知徹底し、以降、利用促進中です。
・職場環境(心理的安全性※)に関する匿名アンケートの実施【2024 年 1 月から 3 月に実施済】
アンケート結果を踏まえ、今後、上記各種相談窓口に加えて、日常的な対話やヒアリングを通じて、
現場の声を受け止め、話し合いを重ねながら改革・改善を続けてまいります。
引き続き、劇団員が心理的安全性を十分に確保できるよう、継続的な状況把握に努めてまいります。
2024 年 11 月より第 2 回の匿名アンケートを実施しています。
※健全に意見を交わし、生産的でより高い成果を生み出すことに注力できるチームや組織の状態
⑥ 内部監査体制の強化【2024 年 4 月より実施済】
阪急電鉄の内部監査部に宝塚歌劇団担当を配置し、定期的に業務監査を行う体制を整備しました。
客観的な視座に立ち、必要な業務監査、指導、助言を行うと共に、劇団内の主要な会議にも参加してお
ります。
3.劇団員および関係者の意識改革・行動変容を促す取組
常に時代に合わせてルールや指導方法を見直し、不断の意識改革を図りながら、培ってきた舞台上での技術
やノウハウ、振る舞いを伝承してまいります。
① 慣習・しきたり・指導方法の見直し【2024 年 1 月以降、順次実施中】
情報伝達の方法やタイミング、備品の使用可否など、時代にそぐわないものや必要以上に制限する
ルールを廃止・変更しています。今後も効率化できる方法を検討しながら、適宜アップデートしていき
ます。
② 匿名で投稿できる意見箱の設置【2023 年 12 月より実施済】
劇団施設内に 2 か所および専用 WEB フォームを設置し、要望事項に対して劇団員の代表や関係先と
協議の上、順次改善を実施しています。
設置以降、多数の意見が寄せられており、それぞれの意見に対して真摯に協議・対応を重ねております。
これまで四度にわたって、劇団員の代表から劇団員宛に進捗を書面にて報告しておりますが、引き続き
各意見に真摯に向き合い、関係各所と協議の上、順次改善に努めてまいります。
2024 年 10 月に五度目の進捗報告を劇団員の代表から劇団員宛に書面にて行いました。
③ 出演者・スタッフの役割分担の見直し
・稽古用小道具の準備や段取りに関する役割の見直し【2024 年 1 月以降、順次実施中】
出演者による稽古用小道具の製作を廃止し、スタッフが購入して保管のうえ、各組で共有しています。
さらなる効率化を図るべく、稽古用小道具の保管場所や管理方法の適切化について検討を進めてお
ります。
・IT ツールの導入【2024 年中に実施予定】
IT ツールを導入し、一部の各種連絡や情報共有を効率的に行えるよう変更しました。
さらなる情報・データ共有の円滑化を図るべく、コミュニケーションツールやデータ共有ソフトを
搭載したタブレット端末の配布について、検討・準備を進めております。
・稽古場運営業務の見直しに向けた検討【2024 年 7 月より実施中】
一般演劇の制作に携わっている外部スタッフに参画いただき、稽古場運営業務における現状の課題
と解決策について助言をいただきました。いただいた助言をもとに稽古場運営の在り方や役割分担
について検討を進めています。
引き続き、業務の円滑化・効率化を図り、出演者やスタッフの負担を軽減します。
④ 人材育成の強化【2023 年 12 月以降、順次実施中】
ハラスメント研修、リスペクト研修、コーチング研修など各種研修を拡充しています。
今後は定期的に出演者やスタッフを対象としたハラスメント研修を実施する予定としており、
そのほかの研修やキャリアサポートについても検討しています。
これまでに、出演者を対象に全組でハラスメント研修を実施したほか、全スタッフを対象に動画視聴に
よるハラスメント研修を実施しています。加えて、マネージャー職以上を対象に、ハラスメント相談窓
口研修(相談員としての言動や対応を学ぶ研修)を順次実施しています。
4.劇団員が働きやすい労働環境づくり
上記に加え、2024 年 4 月より一部手当の増額やベースアップ等を実施しておりますが、劇団員が安心し
てより良い舞台づくりに専念できるよう、さらなる労働環境の改善に努めてまいります。
2025 年 1 月からは主に若年層への支援施策の一環として住宅補助手当を導入予定です。
また、2024 年 9 月 5 日に西宮労働基準監督署から是正勧告書を受領しました。このことを重く受け止め、
監督官庁や専門家のご指導も頂戴しながら、ご指摘事項に適切に対処するとともに、引き続き宝塚歌劇団の
改革に全力で取り組んでまいります。
引き続き、各取組の実施状況やアドバイザリーボードの助言等も踏まえ、適宜必要な施策の実施や実施済
の取組の見直しを進めてまいります。
以上

5

コメント

タイトルとURLをコピーしました