花組バウホール公演『儚き星の照らす海の果てに』3月22日(土)11:30と15:00の感想の続き。
ジョージ・カミング=みそまる
前項で、トーマスの仲間たちは役の差別化が難しい、と書いた。
脚本上の各人のセリフがほんっっっとにありきたりだし、役に性格が与えられてないレベルなんだけど、それだけに芝居は演者次第なんだよね。上手い人は上手い。
タイタニックが沈む時のトーマスと会話するジョージは、『巡礼の年』の子役を思い出しました。
やっぱり芝居がすごく上手い。
ちゃんと、その役を生きて、その人物として話している感じがするんですよね。
2番手/イズメイ=あっしー
175センチの長身のあっしーは、若いながらも2番手の悪役の風格がじゅうぶん。
舞台なので、やはりビジュアル的なインパクトや外見からくる説得力は大事です。
あっしーはイズメイの役どころがしっくりきましたね。元々歌も芝居も上手いし、いい2番手ぶりでした。
1幕終わり近くにイズメイさんが両手を肩の高さに上げて後ろを向いて足をダンって踏み鳴らすところがよかったです。
ものすごく脚の長さを見せつけてて、こういうの大事(笑)。
働く娘さんたち
ヒロイン以外の娘役の扱いも、もう一息お願いしたいところ。
女の子のナンバーが可愛いけどそのあとは……。
主人公のトーマス達のいる会社には女性従業員がいる。
その中ですこし目立つポジションに配されたのは3人。
エミリー・はづきちゃんとルーシー・初音ちゃん、オリヴィア・真澄さん。
はづきちゃんと初音ちゃんはヒロイン経験者だ。
ルーシー・初音ちゃんは眼鏡が可愛い。
ルーシーの見せ場はクールなまのっちモーリスをデートに誘うところ。でもそれで終わり。
モーリスの闇落ちからひと悶着あっても良さそうなものだけど。
はづきちゃんのエミリーは東上ヒロイン経験者には役不足ではないか。
エミリーはトーマスに恋して、告白しようとしたところでヘレンのことを知り、身を引く。
ふられた後も尊敬するトーマスのもとで仕事を続ける。(たぶん秘書的な業務かな)
得意の歌唱力を生かしたソロの見せ場もあるけど、基本的にはやはりトーマスの人生に影響を及ぼさない。
オリヴィア・真澄さんはいつの間にジョージ(みそまる)と!?
しれっとおデートしててびっくりした。いや、たしかにセリフでなんか言ってたけど。
芝居も歌も達者な娘役さんたちなだけに、脚本上での扱いがもったいなかった。
もうちょっと演じがいのある描き方もあると思うのよ。
その他いろいろ
・父親が龍季くん、母親が糸ちゃん、子ども時代が希蘭くん、大人になったららいとトーマス。
子ども時代はあきらかに父親寄りの見た目だったのが、成長したら母親寄りになった。
・出てきたときから、話し方でキャラを見せてくるじゅんこさん。さすがは専科の貫禄と経験。
・ゆかちゃんさん演じる師匠アレクサンダー・カーライル。彼の苦悩の様はわかる。働いてるといろいろあるよね。
一人の人間の苦悩を演じて秀逸だった。
・船長のヒロさんがかっこよすぎる。頼もしすぎる。
最後の航海が墓場となったけれど、かれのおかげでみな頼もしかっただろうな。
・主人公チームに若いころのあーさに似た子がいましたね。風美くんかな?最年少設定の子。
演出その他
人間を描く、キャラ立てさせるという点では不満だったこの作品だけど、いいところももちろんあった。
音楽がすごい。花組生のダンスもすごい。それは間違いない。
そして波にのまれて海に引きずられてく演出、こわあああああああ!!!
夢に見るぞ!!
斉藤恒芳センセイの音楽と合わさって怖さ倍増である。
楽曲もすごかった。
芝居を見るというより、楽曲を楽しむミュージカルとして味わえばよかったのかもしれない。
つっこみたかったところ。
ヒロインのヘレンはいつも船の模型(おもちゃ)を持ち歩いてるの?
サイズがサイズだけにけっこう変な女子だぞ。
トーマスと会えると分かってるから船のおもちゃを持ち歩いてるのかと思いきや、再会して本気で驚いてる風なのにこちらがびっくりだよ。
トーマスと会う予定もないのにドレスに船を持ってお散歩してるのかこのヒロインは。
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