『グレート・ギャツビー』感想・1

月組公演感想,月組

月組宝塚大劇場公演『グレート・ギャツビー』7月23日(土)11時の回を観てきました。
新型コロナの影響で初日がずれて(7月16日~21日の公演は中止)、偶然初日明けの2公演目の観劇となりました。

宝塚の『グレート・ギャツビー』は初演も再演も観てないので、比較はできません。
場面や楽曲なども増えたそうですね。
1本物の大劇場版ということもあり、パーティーシーンとかダンスシーンとかが増えたのかしら……と推測。

舞台はアメリカ、1920年代なので約100年前です。
第一次世界大戦の戦勝国としての好景気に沸き、「狂乱の時代」「ジャズ・エイジ」が訪れています。
ケンタッキーにいた若いころのギャツビーとデイジーの姿は『風と共に去りぬ』(あれはもっと昔ですが)を思わせ、そこからたった5年でフラッパーガールも現れる近代になるのがびっくりよ。
もちろん田舎・ケンタッキーと都会・ニューヨークの違いも大きいでしょう。

れいこちゃん演じる主人公・ギャツビーは成り上がり者。
海ちゃん演じるデイジーを手に入れるため、裏社会ともつながりながら謎の大金持ちとなりました。
しかしちなつ演じるトム・ブキャナンのように「アメリカの貴族」たり得ず、詐称していた素性を明かされた彼はデイジーを失います。
トムの愛人・マートルをひき殺したデイジーをかばい、デイジーの身代わりにマートルの夫に殺されたギャツビーの葬儀はさびしいものでした。

すごく不思議だったのがトム・ブキャナンが「アメリカの貴族」というところですね。
あの新興国で、貴族って。
なんだかんだ過去(イギリスとかフランスとかにいたご先祖の時代)を引きずりたくなるのが人間か。

トムたちは成り上がりのギャツビーは見下す。
裏社会に通じあやしい商売をしていたことだけを理由として見下しているという感じではないんですよね。禁酒法を逃れるパーティーやもぐり酒場はOKなわけだし。
かれらがギャツビーを見下すのは「伝統的な貴族」ではないから、経歴を詐称していたからという感じ。

そんなギャツビーが身代わりになることによってデイジーも夫のトムも救われるのだけれど、そこに哀憐の情も感謝の心も罪悪感もなさそうなのが、

あーーーーーーー人生ーーーーーーーーー。

と思いました。
うん、まぁ弱者側の人生ってこんなもんですよね。たぶん。

それはそうとれいこちゃんは非常に麗しく眼福でした。
白薔薇が似合うわれいこちゃん。
プログラムの白薔薇を背負ってる白スーツ姿なんて本気で少女マンガですよ、昭和の時代のね。

どうでもいい話。元雪1のだいもんは紅薔薇を持っては振られてる印象だったんですが(笑)、れいこちゃんは白薔薇をプレゼントして受け入れられるんだよなぁ。なんだ、この差(笑)。

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