昨年12月に見たあがちん主演のDC公演『FORMOSA!!』の感想の続き。
オリバー・オズワルド/あすくん
今回の雪DCの最大の問題点はヒロインがヒロインとして描かれてないことだよなぁ。
(それと反比例するようにやたらにBLの匂いが)
ヒロイン不在の舞台だった。
脚本上のヒロインはあがちんかあすくんかというレベル。
トップコンビ制を敷く宝塚でなければ、単純にあがちんとかせきょーのバディ物というか愛憎というか……この2人メインで話ができていると考えるほうが素直である。
今回、ポスターにはばまいちゃんも出てないし。(配役表ではちゃんとヒロインの位置で掲載されてるけどね)
若手含めた全員に歌わせようという意気は買いたいが、役らしい役は少なかった。
特に娘役は。
あすくんが担ってた役をもう少しはばまいちゃんに渡せてたらヒロインらしくなったのかなぁ。
でもあの説得力はあすくんだからこそとも感じるんだよね。
サルマザナールの嘘を見抜き、「ジャン」としての人生を知りたいと言い、無理強いはせず。
虐げられて生きてきて、変わった花になりたい、踏みつけにされたくないと思いながら生きてきた「ジャン」の存在を肯定してくれるのがあすくんのオリバー・オズワルドだった。
あと、淡々とした「見ればわかる」のセリフだけで笑わせるのはすごい。
「間」なのかなぁ。さすがすぎる。
けっこうあっさり亡くなったのは驚いた。
でも人間なんてそんなもんだよなぁ……。
メリアンダノー/さんちゃん
メリアンダノーは皇帝と后妃を殺害し、偽称により皇帝になりあがった武将。
かれはジャン=サルマナザールの空想の産物です。
ゆえに、メリアンダノーが創造主であり神の立場であるのが本来の立場。
なのに、フォルモサが独り歩きするようになって、サルマナザール自身の意志では制御できないほどになって……。
フォルモサを飲み込むメリアンダノーに、サルマナザール自身も飲み込まれていくかのようでした。
この力関係と舞台での見せ方が本当にすごくて。
場面ごとに変わるメリアンダノーの衣装と、第2幕でメリアンダノーに翻弄されるようにサルマナザールが踊るところは素敵でした。
だれが筋骨隆々だと……?と思っていたさんちゃんが、話が進むにつれてどんどんそういう武将に見えてくるところがすごい。
そんなに恵まれた体躯というわけではないのに。
時間とともに空気がどんどん出来上がっていく不思議ですね。
イネス/かせきょー
この公演の2番手はイギリス国教会牧師かつ詐欺師・イネス役のかせきょー。
堂々たる舞台でした。
どの場面もよかったけれど、コーヒーハウスのところはさすがの圧と実力でしたね。
かせきょーがきた……!感がすごい。
咲ちゃんのDSでご本人のキャラクターのヤバ面白さを見せといてこれかよ。
さすが106期首席様だぜ。
イネスとサルマナザール(あがちん)との関係は共依存だろうか。
サルマナザールを利用していたはずのイネスが、どんどん「もっと金儲けができる」とサルマナザールがフォルモサから離れることを拒否していく。
「金儲け」はもちろん最初の動機だったはず。
しかし、イネスの狂い方はどんどんサルマナザールとの関係への執着に変わっていく。
ペンブローク卿に身体を差し出しても、「身分をお与えください」とサルマナザールを縛り付ける方向へと進む。
イネスの執着の方向が、金ではなくサルマナザールであるとペンブローク卿に見破られてるのがヤバくてぞくぞくしました。なにこの801……。
かのゆりペンブローク卿へのぐぎぎぎと声がしそうな反抗心の見える表情も腐女子大喜びなやつでした。
コメント