『f f f -フォルティッシッシモ-』感想・2
雪組大劇場公演『f f f -フォルティッシッシモ-』の好きなところ。
※ネタバレはなるべく避けますが、避けきれないところはあるので気になる方はご注意ください※
・なんといっても歌が多い。
いろんな人に見せ場があっていろんな人に歌がある。
メインキャストのベートーヴェン・だいもん、謎の女・真彩ちゃん、ナポレオン・咲ちゃん、ゲーテ・翔ちゃんだけでなく。
ケルブ(天国の門を守る智天使)のヒロさん。
ケルビム(天使)ともか・はおりん・ひめかのコーラス(←そもそも歌えるメンバー揃えてるよねー)、
ヘンデル・まなはる、モーツァルト・みちる、テレマン・あがちんの死せる音楽家たち(←ここは歌えるメンバーが……いやなんでもない)、
メッテルニヒのカリ、サリエリのあすくん、ルドルフ大公あやなちゃんなどなど多くの人に歌がありました。
メッテルニヒのカリくんの歌、めちゃくちゃよかったわ。
もう1回聞きたい。
・特に面白かったのは、謎の女・真彩ちゃんが「通訳」として連れてこられて、ベートーヴェンとゲーテが対話する場面。
耳の聞こえないベートーヴェンのために、ゲーテの言葉を謎の女が彼に伝える。
翔ちゃんの歌を、真彩ちゃんがなぞって歌う形になるんですね。
こういう輪唱(?)の形もありかぁ!
・だいきほの歌は言うまでもなく最高でまさに耳が喜ぶ劇。
だいもんのパッションに溢れた歌も好きだし、真彩ちゃんの歌は登場したところから彼女にしか歌えないと思える歌だった。
ラストの祝祭感も、最初はびっくりしたけど2度目に観たらたぶんすごさがわかると思う。
・舞台の使い方がめちゃくちゃ面白い。
前にも書いたけど、花道から花道まで、舞台上、セリ、盆、銀橋をフルに使って、さらにはオーケストラボックスまで使う。
(新型コロナウイルス禍で生オケではなくなったことを逆手に取ってますね)
舞台機構をフルに使って立体的に舞台を作っている。
あっちこっちでいろんな人が同時多発的に芝居をするので、おかげで目が足りないという事態に……。嬉しい悲鳴だけどね。
左右の両花道で芝居をされたらどっち観たらいいんだよ!!
たぶん2階から見たほうが楽しいけど、オペラグラスを使ってると見逃すところも多い。
舞台を立体的に楽しめてオペラ不要な2階前方席がベストでしょうか。
・「若きウェルテルの悩み」をちゃんと舞台上で見せて、ベートーヴェンの人生とリンクさせてきたところもよかった。
すわっちやあゆみちゃんにちゃんと役もつくしね。
・だいもんベートーヴェンのブオナパルテッッな発音に笑う。
ベートーヴェンさん、生きる熱量がケタ違いだからさ。
裏切られたと思ったら感情がほとばしりまくり。
とかいって、大騒ぎしながらナポレオンのこと大好きすぎて笑う。
(ベートーヴェンさんは『20世紀号に乗って』のオスカー・ジャフィにちょっと似てる)
時空を飛んで会いに行っちゃうところとかさ。
あーーーーー舞台ならではだわーーーーーーーって思う。
たぶん、整合性とかは置いとくべき。
・だいきほ夫婦漫才が尊い。
わけわからんことを言い出すベートーヴェンに(なに言ってんだこいつ)的な目線をやりながらなんだかんだつきあってる謎の女さん。
そんなキャラだったんか!
「ペンじゃなくてパン」と渡すところとか、強くて最高ですよ。
「1つだけお願いがあるんだ」
「え、い、いやあああ」
のくだりとか、ベタだけど好き。
(ここでちゃんと踏みとどまるところが作家のデリカシーですよね)
真彩ちゃんの衣装が黒一色じゃアレだと思ったのか、ピンク。
なんともいえないドレス。
ベートーヴェンさんの趣味ですかね……。
たぶん客席全体が(ベートーヴェン、モテないわけだよ……)と心中ツッコミを入れたと思う。
・そんなベートーヴェンに「あんた結婚願望強すぎ」とツッコミが入る容赦なさよ。
いやほんと、私も思ったけど。
不幸な少年時代を送って(お母さんは優しいけどパパがねぇ)、幸せな家庭に強い願望を抱いたのかしら。
・そういやだいもん雪組時代の「貧乏」は変わらずでしたね。
不幸縛り、貧乏縛りは最後まで。
でもそれを吹きとばす話なんですよ、『fff』は。
ベートーヴェンがいっときは死にたくなっても「クソがぁ!!」とばかりに息を吹き返す。
・ひまり少年ルートヴィヒもかわいくて上手い。
『ドン・ジュアン』でもだいもんの少年時代やってたなぁ……。あれも当たり役だった。
・みちるモーツァルトは少年です。
かわいい。
天界トリオでわちゃわちゃしてる場面もけっこうあって目が足りん!
・小さな炎のひーこちゃん、踊りまくり。
苦悩の人生を歩み、死に近かったベートーヴェンの魂の炎なんですよね。
彼を生かす炎。
彼女もまた運命。
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