れいこ版『ダル・レークの恋』を見たんだ・3

●れいこちゃんの良さは顔だけじゃない。
お芝居も歌もいいんです。

主人公・ラッチマンは自らを詐欺師と偽ったり、身分が明かされてからは愛したカマラと別れるためにやせ我慢をしたりします。
わざと悪ぶりながら、底にある真情を見せなければならない。
けれど、最初のあたりでは「ラッチマン、詐欺師って本当!?ええまさか……でももしかして」と観客を翻弄する必要もあります。

そういうさじ加減がれいこちゃんは絶妙でした。

ラジエンドラとして嘘偽りを述べながら、観客に向けた視線を効かせてカマラたちには見えない表情で心情をさぐらせる巧みさがありました。
初めて見る作品じゃないし、オチも知ってるのにちゃんと「これからどうなるの……!?」とドキドキしましたからね。
分かってるのに毎回心が動くのは、演技に魂が入っているから。

昔の作品らしい大芝居の楽しさと、現代のジェンヌさんが演じるがゆえのナチュラルな演技の入り込みやすさの両方を備えていたのもよかったです。

●ヒロイン・カマラを演じたくらげちゃん。小公演や新公でヒロインを何度も演じているベテランの娘役です。

研10ということもありヒロインを演じる娘役にしては学年は高めですが、初々しさを技術で出していました。
冒頭のパーティーでのはしゃいだ様子、別れを告げなければならないと言われたときの痛々しさなどの芝居もうまい。

ダンサーなので、娘役らしい柔らかくて優美な踊りも得意。
サリーをほどかれる動きもたおやか。
フィナーレで男役を率いてのダンスも素敵だし、さほど踊りが得意じゃないれいこちゃんをかっこよく見せるデュエットダンスもお見事でした。

船での「来るんですか、来ないんですか」の怯え方もいたいけでした。
望んだ形での愛のある行為ならよかったのにね。やることは同じでも、気持ちが伴わないと辛いおこないだから。
それでも翌朝は幸せそうで村の祭りも楽しんでいたのは、互いに「制服」を脱ぎ、いったんは心を通わせたのでしょう。

が、空気読め村人ォォォーーーーーーー!!!!
「マハ・ラジアのお姫様、カマラ姫だ」とか言うんじゃねぇ!!!

カマラがみるみるうちに心の鎧を着ていくさま、それを見ているラッチマンが切なくてだな……。
いやもうお気の毒ですよ。
ラジオン・まおまおは「お辞儀をしないと殺されるよ」とか言ってるのに、村人・つっちーがいけずうずうしい口をきくのは祭りで飲んでるからですかね。
お酒、危険。

・ラジエンドラがペペルとわかり、カマラとラッチマンの恋の障害は表向きはなくなります。
しかしバトラー船長よろしく「終わったものは終わったものさ」なわけで。

生き方も信念も違う2人がこのまま結ばれて幸せになるのはムリ――とラッチマンにはわかっている。
そしておそらくカマラもラッチマンの気持ちに気づいていて、それでいて回りから「もう一度ラッチマンの心を取り戻せ」とけしかけられる――キッツいですわー、これ。
キッツい状況ながら、無理と半ば悟りながらラッチマンのもとに向かう姿が気の毒です。
優しくて聡いところもあるが、回りの人の意向を大事にしすぎて(というか立場的にそうせざるを得ない)苦労するお姫様ですわ。

カマラがパリを彷徨する場面は、カマラがなにもかも振り捨てたのでしょうか。
普通に考えて、女官長という重い立場の女性が愛する男を探してパリをさまようことができるとも思えない。そんな自由な時間はとれないでしょう。
(でも家や身分から離れて、あのような優雅な姿ではいるのも難しそうだわーーお金もかかるし)

なにもかもをなげうったカマラとならラッチマンもーーと思わなくもないけど、そこは男の美学なんでしょうね。
切なく美しいラストシーンです。

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