『シラノ・ド・ベルジュラック』を見たんだ・3

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12月12日に配信で見た『シラノ・ド・ベルジュラック』の感想の続き。

・クリスチャンのせおっち。
本当に顔がいい。寝顔も美人。
若い娘であるロクサアヌがポーっとなるのも納得だ。

顔がめちゃくちゃいいけど中身は残念、というのがまた少々失礼ながらせおっちにぴったり。
中の人、ものすごい外見の良さに比べるとどうしてもダンスなどの技術その他に拙さがある人だったので(立ち位置が上がって出番が増えてかなり良くなったとはいえ)、そういう点と響きあってしまう部分があるのだよね。
人の好さが見えてしまうところもまた、クリスチャンとせおっちの親和性なのだ。

ところでクリスチャン、めっちゃ手が早い。
ロクサアヌをうまく口説けなくて振られかかってたところ、シラノの言葉で再びロクサアヌの心を手に入れる。
そこから「キスを!」になってしまう残念さ(笑)。

お前は!!!!
ほんと若いな!!!!

性欲やらなんやらに支配されてる感が笑えるやら泣けるやら。

でもそこからあっさりロクサアヌの部屋に入っちゃうのもびっくりだよ。
ロクサアヌもロクサアヌだよ、早いよ。
時間の経過(短い)からして、さすがにベッドインはしてないでしょうが(でも最初はそういうことかと思った)、ほんと羨ましい見た目とお気楽さである。
とはいえ、そうなってもピロートークでバレそうよねぇ。

しかし、ロクサアヌは手紙につづられた心を愛していると語るようになる。
それを聞く姿が切ない。
ロクサアヌが真に愛しているのは誰かを悟り、身を引こうとするクリスチャンに、外見だけではなく、真心もある男の姿が見えた。
中身が「言葉が残念」なだけの人ではないのよね。

・菓子屋の主人・ラグノオの極美くん。
可愛かったですね。出番も多かった!

轟さんともせおっちともみっきぃとも違った華やかな美形で、舞台の絵面がほんとうに美々しかったです。
麗しい……これぞタカラヅカ。
極美君の頭身バランスは群を抜いてて、二次元のようだったわ……。

こんなきれいでかわいい子にお菓子とか作られたらね、なんかそういうお菓子工房のマンガかな???みたいな感じになる。

妻・リイズ(みおのさきちゃん)に浮気されるところは「こんなにきれいで性格良さそうで職人としての腕も確かな男になんの不満があるんだ!」と言いたくなる。
だけど、極美くんのふんわりした雰囲気に頼りなげな感じがあり、妙な説得力があるのだった。

・みっきぃさんのド・ギッシュ伯爵。

上には媚びて下にはキツく当たるタイプのイヤな男です。
執心していたロクサアヌの相手であることを理由に、クリスチャンを前線に送ろうとする男ですしね。
ザ・公私混同。

そういうイヤなところと、ロクサアヌに振り回されるコメディ的なところ、そして戦場で見せるイヤなやつというだけではないところ。
多面性のある性格を、少々強引ながら(強引なのは原作や脚本のせいでしょう)一人の人間のありようとして見せられるのがみっきぃさんの実力です。

第2幕終わりの修道院に入ったロクサアヌを訪ねるところも。
出世はしたが、しかし……と人生を語る。
かれの物悲しさが、零落したシラノの哀れさを物語から救いもする。

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