配信で見た『BONNIE & CLYDE』の感想の続き。
ボニー・パーカー/夢白ちゃん
数年ぶりに夢白ちゃんのボニーを見て、やっぱりひれ伏すしかないと思った。
ありがとうありがとう、ひれ伏したくなる美女、しかも役幅が広くて役がぴったり。
私は男役さんも大好きだが、崇め奉りたくなる娘役さんもものすごく好きなのである。
美しくて、芝居ができるのって最高だわ。
ボニーが女優に憧れるのも詩が好きなのも夢見がちだからか。
あんなにきれいなのに、しがない田舎でくすぶっているしかない感じの鬱屈も似合う。
ボニーが夢見る少女から、クライドとの出会いで事件に巻き込まれて、ギャングになっていく過程がかっこいい。
クライドを脱獄させるための身体検査の一芝居はとてもスリリングだった。
「ボニー&クライド」か「クライド&ボニー」かという言い争いは、詩を、つまりは言葉を愛する彼女には譲れないところで、少女性の発露であるとともに、スター志望だったボニーらしいこだわりともいえる。
「ボニー&クライド」としてスターになった彼女はスターとして生きるしかない。
それはつまるところ、最期までスターでありつづけるということだ。
蜂の巣になることを知りながら車に乗る彼女の放った光芒のようなもの。
ブランチ・バロウ/ひまりちゃん
バックの妻・ブランチは敬虔なクリスチャンで、夫を真っ当な道に引き戻そうとするが……。
ブランチはひまりちゃんの清さと生真面目な雰囲気が生きた役。
夫に、何度も弟のクライドとは手を切れ、というんですよね。
正しすぎる。あのクライドをまっとうな道に引き戻すことはできないから、夫であるバックがきちんとした人生を歩むためには縁を切るしかない。
ブランチの言い分は正しい。
けれど、兄弟の情の部分だったり、優柔不断さだったりで、たぶんどうにもならないところだったんだろうな。やるせない。
なのでひまりちゃんブランチはきっぱりそらちゃんバックと別れるべきだったと思うよ。
でもあんなズルい男(色気ダダ洩れ)と切れるなんてできんわなぁ……。
エマ・パーカー/あんこさん
ボニーの母親役にあんこさん。
夢白ちゃんのお母さんというのがとてもしっくりくる。美しさに鋭さのある美人母娘である。
この芝居の中でエマのセリフが一番好きかもしれない。
クライドに心奪われて破滅の道を進みつつある娘・ボニーを止めるセリフ。
正確には覚えてないけど
「あなたのお父さんと結婚する前、私がお父さん以外に恋しなかったと思う?」
恋は盲目だ。
若ければなおさら、ダメだとわかっていても心がほとばしる。
それをわかっている、生まれながらの「母」ではなく、ひとりの女としての歴史を持っている、人生の先輩としての女性のセリフだった。
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