『阿修羅城の瞳』感想・2

5月3日(土)11時と15時30分に観てきた星組『阿修羅城の瞳』の感想の続き。

病葉出門(わくらばいずも)/こっちゃん

今作をもって退団する星組トップスターのこっちゃんは、これが集大成ともいえる出来でした。

鬼殺しとしての迫力も、つばきを見る目の色気も、喪失の痛みも、視線に込められた力強さが胸に響く。

殺陣をしながら歌う、セリフをいうのになんの澱みもなく、出門として生きる。
今回、殺陣がものすごく多いし早いしなのに、どれもこれもがかっこいい。スピード感がすごい。
セリフも多くて早口、しかもけっこう難しい言葉が含まれてるのにきっちり聞かせる。

どれも、舞台人としての技量の高さゆえですよね。

こっちゃんは着流しが似合うわ。
殺陣のときに見える腕や脚のかっこよさも含めて、鍛え上げられた重い鋼のようである。

ありちゃんのつばき(阿修羅)とのやりとりも素敵。
出会ってすぐ口説くときのチャラついた風情がものすごく好きだ。
あの深く考えてない感じが、出門の刹那的で根無し草のような匂いに、時代物らしい漢くささとして映った。
そして、逃れられない宿命的な縁を知っての、業火のような愛も。

覚悟を決めて阿修羅城へ向かうときの姿は痺れるような色気とかっこよさでした。

闇のつばき/ありちゃん

「闇のつばき」と転生後の「阿修羅」を演じたありちゃん。
これは、たしかに男役の役ですわ……!

ありちゃんは一応文化祭(主演してた)から観てるのもあって、毎度「芝居上手くなったなぁ……!」って思う。
今回も、2役ともいえる役を演じ、しかも謎を持ちながら生きる難しさもある。
人間の女と、化生のものと、どちらも演じ切ってさすがでした。

私、「つばき」も「阿修羅」もどちらも好きなんですが、ちゃきちゃきの江戸っ子姐さんのつばきが特に好きですね。
まさに小股の切れ上がったイイ女。水も滴っちゃうぜ。
出門とのセリフのやりとりも小気味よく、たらしこもうとしたり、すげなくかわしたり、可愛さを見せたり……。どれもが可愛くて色っぽい。

出門との殺陣なども見ごたえがあります。さすがダンサー2人。
しかもサッカー選手と野球選手のお嬢さん同士で、遺伝子から優れてるぜ、たぶん。
赤い糸の妖術(緋の糸縛りだっけ?)は、実際には糸は使わず動きだけで見せる。その動き方がめちゃくちゃ上手い。さ、さすがや……!

「阿修羅」に転生してすぐの声音は男役のもの。
凄味があって、異界の人になったと直感でわかる。
そして「阿修羅」である、大いなる魔物としての存在感を出せるのは、さすがは次期トップスターでした。

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