『円卓の騎士』感想・2

OSK

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OSKの近鉄アート館公演『円卓の騎士』の感想の続き。

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・オギーの作・演出になるこの作品は、地理、歴史、民族、宗教がしっかりと蔦のように絡み合う「アーサー王伝説」。
マーリンの出自と、国や民族間の形勢、宗教的な派閥まで織り交ぜて話が進む。

見ごたえ・解釈しがいがあると同時に「重い!疲れる!」という部分はある。
なにもそんなにてんこ盛りにせんでも……ちょっと頭の中を整理させてちょうだい!と初見時には思った。
ことさら関係性が複雑なわけではないです。
ただ、ぼんやりとヒロイックファンタジーを観にきたつもりの頭には予想外の設定の詰まり具合だったものだから。

怖かったのは「キリスト教徒」という言葉が出てきたこと。
「ケルト民族」「ゴート族」などは私にとってはファンタジー寄りの言葉だから、舞台上で発されてもなんの違和感もない。耳の上を素通りしてくれる。
けれど「キリスト教徒」は今わたしがいる社会と地続きの言葉だ。
マーリンやアーサー王らの思想を駆逐する側して出てくる単語なものだから、ひぃぃぃってなったんだよね。

・楊さんの歌は、男役にしては高音域なのかな?
耳慣れないほどに声が高くて、それゆえに少年味があった。

いたいけなアーサー王。
アーサー王がエクスカリバーを手にしたのは運命であり、マーリンの差し金でもある。
エクスカリバーを手にしたかれは、血にまみれた人生を送ることになる。
エクスカリバーに体を操られる動きがすごい。

伝説の剣は呪いにまみれているという描き方。

・舞美グウィネヴィアは溌溂とした知性のある少女として登場する。

だいたい溌溂と明るく賢い女の子って、明るさと優しさによって主人公を救い、悩みや後ろ暗いところがない人格にされがち。けれど、そう一筋縄ではいかない感じがオギーであった。

彼女はアーサー王に見初められにいく。
自分の国のためにアーサー王を利用しにきたという後ろ暗さがあるのだ。

アーサー王に気に入られたようでよかったと、一人ごちる姿が印象的だ。互いに恋に落ちつつも、後ろめたさゆえに幸せとは言い切れないところが。

グウィネヴィアは、キリスト教徒である彼女の進取の気質によってアーサー王をマーリンの呪縛から解き放っていく。
強い。賢い。
地に足がついていて、生命力がある。

不倫疑惑後は、アーサー王を喪って寡婦になってもランスロットを選ばず修道院に入る選択をする。

うまく言えないが、それらも好ましかった。
悩みながらきちんと自分の頭で考えて生きている感じが好きなのだ。

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Posted by hanazononiyukigamau