花組

この前の土日にムラに行って、、宿泊先でスカステを見た。
ニュースでは仙名ちゃんの退団会見をやっていた。

白いワンピースに身を包んだ仙名ちゃんはとても綺麗だった。退団を決めたすがすがしさに満ちて見えた。

驚いたのは、声。

今まで舞台で聞いていたアニメ声のようなものとはまるで違った、低い声。
これが地声だったのか。

宝塚の娘役には男役との差別化が求められる。
本物の男ではない「男役」を「男役」たらしめる、生まれながらの性は同じ「娘役」。
男役の低くはなりきらない声を「男」と認識させるために、娘役は極度に高い声を求められる。
また、「女役」ではなく「娘役」であるがゆえに、実年齢その他いろんなものから遊離した「娘役声」とでもいうべきものを作らねばならない。

仙名ちゃんも、娘役であるために戦っていたんだなとしみじみと思った。

新公ヒロイン経験なしのままトップ娘役就任という特異な経歴の持ち主の仙名ちゃん。
新公時代「娘1って感じじゃないな」と思っていたこともあって、みりおの3人目の相手役としてトップ娘役に決まったときは驚いた。
良いものは見せてくれるだろう、けど……と、喜びの中にも条件付きで不安含みのまま娘1の就任を迎えた。

実際、娘1就任すぐの彼女の舞台は「女役」に近かったように思う。路線育ちではない、やや薹の立った娘役。
叩き上げの雰囲気と貫禄があるトップ娘役、そういうのもいてもいい。そう思っていた。
だが真ん中に立ち、みりおの相手役を務めるうちに「娘役」に近づいていったのだ。

娘役の真ん中を務めるうちに、彼女は立場にふさわしい華を備えていった。
女役から娘役への逆成長とでもいうべきもの。
こんなこともあるもんだ。

彼女の娘役らしさの核の一つは「声」だった。
別格風のたたずまいとはやや相性が悪く思えたアニメ寄りの声だったが、あれも仙名ちゃんの努力のたまものだったのだなぁ……などと、退団記者会見映像を見ながら思った。

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花組

Posted by hanazononiyukigamau