月組『エリザベート』感想・5

2020-12-26月組公演感想,月組

宝塚の演目は、演者が変わることによって一つの役が違った性格に見える楽しみがありますが(再演ものとか新公とか)、同じ演目・同じ演者でも観る回によって違う印象を受けることがあります。

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以前「お母さんぽかった」とさんざん書いたたまちゃんトート閣下。
今回はちゃんと男役トートに見えました。
優しすぎてシシィを心配しすぎ見守りすぎのトートじゃなくて、隠しきれない包容力がありつつも冷酷さやシニカルな雰囲気のある閣下でした。

前回は2幕しか観られなかったんですが今回はちゃんと全部観れたー!
登場シーンとか最後のダンスとか観れてよかったよおおおお。

勝手にたまトートの好きなところ4選。

「最後のダンス」で太ももでリズム取ってるたまちゃんいいわー。生々しいセクシーさがあって。
シシィの居室でフランツに最後通告を突きつけるシーンも。あの場面の「コイコイ」な指の動きがエロい。どこで覚えたんだそんなの!
ルドルフの棺のうえでの長い脚見せつけポーズも好き。ほんと長いな脚。
あと、1幕最後にオーケストラボックスから銀橋に出てくるところ。お尻で移動して位置取りしてるのが可愛いよね。

ようやくちゃんと観れた!といえば、なんといってもシシィ。
少女時代から中年期までの人生を生きるのですから。人の一生を演じきれるか、年齢ごとの違いや成長を見せられるかが役者としての実力の見せどころです。

肖像画から登場したところ。
大きく息を吸って両腕を伸ばす。そのさまが翼が生えたようで、「鳥のように自由に空を駆け」と詠んだシシィに似つかわしく思えました。

声がすごい。少女だ。
まだこんな引き出しがあったんだ。底知れないなぁ。
役者としてのちゃぴの凄さを再確認しました。

少女時代のシシィの印象は「少年」。
そのまんま少年じゃなくて、少年と少女が入り混じった、性別未分化な感じ。年齢を考えると内面的にやや幼いのかもな。
「少年」を強く感じたのは綱渡りの場面で「べーっだ」とかやってるからかもしれない。

そんなシシィがフランツと出会い、見染められてハンサムな皇帝に見つめられているうちにポーっとなって。
恋をして、この「少年」が「少女」に変わっていくさまが面白かったです。
結婚式やゾフィー襲撃、「私だけに」のところはもちろん「少女」なんですが、ちょくちょく「少年」だったころの名残があるのが面白い。

と、こう感じたのは午前の公演で、午後の加美乃素貸切ではさほど「少年」とは思わなかったんだよなぁ。
同じ日の午前と午後でも受ける印象が変わるからナマ観劇は面白い。

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