『WEST SIDE STORY』感想・3

宙組

・まどかマリア(まどかマギカではない)は、恋をして、悲しみに触れて、すっと身の丈が伸びるような成長が見事。
「あと1インチ」と言っていた少女が、「どうやって撃つの」と据わった目で話す女になる。
ジュリエットと違って死なないマリアは、トニーやベルナルドの死のあともアメリカで生きていくんだろう。
ふわふわとした悲劇的で物語的な死で人生は終わらない。
死んでしまったほうがたぶん楽だけど、この後も彼女はプエルトリカンらしい地に足のついた力強い歩みを見せていくんだろう。

・りくくんのチノは、冒頭のダンスにまず見惚れた。
両腕と左脚を上げてY字を作るような印象的なポーズが美しい。

マリアからは「チノにはなにも感じない」と言われる典型的ないい人(でもどうでもいい人)と思わせつつ、トニーたちに破滅を与える役目を担う。

トニーを撃ったあとマリアに向ける笑顔がいい。
マリアの兄・ベルナルドの仇を討ってマリアが自分の元に来てくれると信じている曇りのない笑顔だ。
彼の若さと愚かさが、シャークスとジェッツの戦いの要因の一つでもある。

チノの真っ白な笑顔を曇らせるマリア。
マリアが突きつけた銃と言葉によって、チノたち男の世界も変わる。
マリアによって動く世界と、チノの心の変化が見事だった。

・愛ちゃんのベルナルドはねっとりしてた。
くどい!濃い!
ポマードをてかるまで塗り付けたんだろうなって感じのリーゼント。
妹にも恋人にも仲間たちにも濃い愛情を注いできたんだろうなぁ。

アニータとの濃いカップルぶりは目に毒だ(笑)。

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宙組

Posted by hanazononiyukigamau