『愛聖女』中継を見たんだ・2

月組

月組バウホール公演『愛聖女-Sainte♡d‘Amour-』の良さや面白さ、いくつか。

●主演が娘役である。

娘役主演の作品は過去にもあった、らしい。らしいが、私にとっては知らない歴史である。
私の10数年のファン歴の中では「なかった」ことだから、暴論ではあるが「史上初」に等しい。そのくらいの重みのある「主演」である。

だいたい昔と今では違うのだ。
過去の「娘役主演作品」と現在の「娘役主演作品」とでは意味合いは同じではあるまい。
同一の歴史線上で語るには、風花さんやグンちゃんは遠すぎやしないか。直近のグンちゃんだって17年前だぞ。
べつに、どっちがより凄いって話じゃないけど。

●主人公が女の子だが「ヒロイン」ポジも娘役である。

びっくりしたー!!
いや、ここで男役が「相手役」みたいなポジションで出ると宝塚のトップコンビ≒擬似夫婦的なあり方に引っかかるから、という配慮なのかもしれない。
男役以上に娘役の「浮気」には姑視線が突き刺さりそうだしな。

それで娘役主人公の相手役も娘役。
結果として出来たのは娘役のバディ物。

おいしい……おいしすぎる。
表向き、百合的な匂いのする作品ではなかったけど(あ、勝手に嗅ぎとった人はたくさんいたと思います。)、それでも好物です。

●女の子の行動の動機が「恋」ではない。

たぶん、今までのタカラヅカだったらジャンヌ・ダルクはジル・ド・レへの想いゆえに行動してるぞ。
色恋抜きで、「歴史」というもっと大局的な位置から行動する女の子。
これが新鮮だった。

もちろん、女の子が恋愛してはいけないわけじゃないし、それが行動原理になってたっていい。
でもそれが「当たり前」だとイヤだ。

もっともっと選択肢はあっていい。
いろんな考え方、動き方、世界とのつきあい方があるはずなのだから。

そうしていろんな人のあり様を見ることで世界の見え方が変わっていくのも、舞台の楽しさのひとつだ。

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月組

Posted by hanazononiyukigamau