『凱旋門』新公感想・3

2021-02-11雪組公演感想,雪組

主役のラヴィックを演じた縣くんについて。

とにかくスター性がすごい。
すごいことは知ってたけど再度思い知った。
そして、今までかれのスター性を知らなかった人にまで伝わったということがわかる新公でした。

新人公演における「スター誕生」って、基本的にはきらきらしい若さと不可分の美しさを見せつけて観客を感動させるものかと思いますが、縣くんの場合はそれとは少し違うように感じます。

若くて美しいこと自体に間違いはないのに、きらきらしい感じじゃないからかもしれない。
発しているのは研4のきらめきではなく、新公を卒業した男役さんの色気や重みに近い。
顔の美しさ、スーツの似合う体格、「男」を匂わせる手の大きさ。
声自体もいいと思うのですよ。まだ不安定な部分はあるものの、これから磨かれていくことを確信させる声です。

大劇場のセンターに立っても、一人で銀橋を渡っても、なんら不足を感じさせない貫禄や存在感があるのも縣くんの際立った特徴です。
なんでこんなに「真ん中」が似合うんだ。似合うというか、ひたすらしっくりくる。
普段着のようにスーツや黒燕尾、大羽根が似合う男役さんがいますが、縣くんはそのレベルで銀橋やセンターが似合う。
若手にありがちな線の細さがないことも理由の一つでしょうか。

さて、ひと言でいえば「スター性がすごかった」で終わってしまう新公の感想ですが、それだけじゃなんなのでもうちょっと細々した感想を書き残しておきます。

・出てきたときのかっこよさがすごい。
すでに渋みがある。

・演技は、ケート=ひまりちゃんとのやりとりのあたりからうまく乗ってきた印象。
ジョアンとの出会いのあたりはまだしっくりこなかった。

・かつての恋人の死の場面など、激しい怒りなどの表現はうまいと思う。
復讐のドライブも迫力がすごかった。
すわっちの殴られ方がうまいからまた……。

・ふわふわしたジョアンに嫉妬するところなどは丁寧に演じようとする気持ちが伝わってきました。

・ネクタイを崩したあとの形が今一つ美しくない。
(このへん、ほんと若いわー、下級生だわー)

・ジョアンが亡くなるときのキスシーン2つ。
最初のキスは「唇が離れてるなぁ」と。ほんとうにキスする必要はないんだけど、しているように見せるテクニックは必要。
2回目の手で隠しながらのキスはよかった。

・ラストシーンで縣くんの右頬がちょっと汚れてた。
誰かのメイクがうつったのかな、じゅんはなちゃんかな? あやなちゃんかな? と気になってしまいましたよ。
(ステージトークでじゅんはなちゃんの眉毛と判明)

・歌は課題だけど、良くも悪くもびっくりするようなところはありませんでした。
声質自体はいいと思うのよ。
だから音校時代にピアノを毎日2時間がんばったような気持ちで歌の練習を続ければ、上手くなるんじゃないかと期待しております。

・新公主演のご挨拶が済んでから元のポジションに戻るとき、くるっと回転する動きがキレていてちょっと面白かったです。

0