『BADDY』感想・6

月組

・『歌劇』の座談会で「ロケットは愛希れいか様がおやりになりますよ!」とのウエクミ発言が出たときはウエクミにつっこんでいいのかちゃぴにつっこんでいいのかわかんなかったけど、ロケットを見たら「こりゃ『愛希れいか様』発言も出るわなぁ」と納得した。
うん、あれは「愛希れいか様」だわよ。
普通の娘役にはムリだわよ。

・センター付近は95期娘役揃い踏み。
ちゃぴが抜けた後のどセンターははーちゃんかなと思うんだけど(それともたんちゃんと2人でセンター割りかな?)、最後にピンスポが絞られる先は退団者のさつきちゃんだったような。
だとしたら、愛だ。

・ちゃぴは舞踏会ドレスのスカートを取って、羽根を背負ってのダルマになる。
この衣装チェンジも面白かった。衣装、可愛いし。

・「怒りのロケット」について。

宝塚で娘役が怒る演技をするときって、可愛くぷんすかするか、こちらの胸がキュッとなるような悲しみに近い表現になることが多い気がするのね。
特に主役に絡むことが多いトップ娘役や路線娘役はそうで、本気の怒りを見せるのは上級生だったり別格寄りだったりにしか求められていない気がする。
これって「娘役かくあるべし」という一種のコードで、なんとなれば現代日本で女性に許されているものの反映なのではないかと、今回のロケットを見て思った。

怒るのは大人の態度じゃない、怒るにしても冷静でなくては、感情的・暴力的なのはみっともないとされ、きちんとした形を取らなければ『怒り』は社会に受け入れられない(そしてきちんとした形を取ったらたいしたことではないだなと見過ごされるのまでがセット)、と。

今回のロケットの良さの一つは、怒り・憎しみといった負の感情を真正面からとらえて肯定的に描いているところ。

「生きている」

感情を出してもいい、怒ってもいい、それが生きることだから――というメッセージに感動している私は、そうとうゆるく生きてるつもりでもそれなりに抑圧を感じているんだろう。

それを打ち砕くかのような「愛希れいか様」のパッション。
技術に裏打ちされたパワフルさで、伸びやかな体躯で爆ぜるように歌い踊る。
タカラジェンヌとして10年目に入ろうとしていること、男役の経験があること、トップ娘役としてももうすぐ6年を過ぎようとしていること。
すべての経験がここにつながっている。

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月組

Posted by hanazononiyukigamau