『ベルリン、わが愛』新公感想・4

2021-01-31星組

※褒めてません※

小桜さんのレーニ・リーフェンシュタールは本役はるこよりさらに濃くした演技。
笑いをかっさらい拍手喝采、椅子が揺れるほど隣の人もウケてた。
娘役でハケ際に2回も拍手される人もよーおらんだろう。

テオとエーリッヒに自分を売り込むところはよりオーバーに、ぐいぐい攻めてた。

メイクの場面はおてもやん気味にチークを入れて登場。
美声も響かせる。

打ち上げシーンで怒りを爆発させるところでは「うっかり新聞落としちゃった☆」な芝居のあとぐりぐりと踏みつけて去っていった。

――すごかったんだけど、私の好みじゃないな。
上手いのはわかる、わかるけれど舞台上でのバランス崩されるのはなぁ……(「舞台あらし」と避けられた時代の北島マヤのように)。
派手にやれば目立つし笑いも取れるけど、渋く芝居してくれる人のほうが好きなんだよね。

星蘭ジルの登場シーン(レビューシーンはカウントしない。ヒロインとしての演出をされてないから)、楽屋着のガウン姿で出てくるときに観客は小桜さんのレーニに大ウケしていた。
派手な演技で観客を自分のものにしていた。

こんな中で出てくるヒロインって辛い。めっちゃやりづらくないか。
これが経験豊かな中堅以上のジェンヌなら「自力でなんとかしろ」と言いたいけれど、研3、新公初ヒロインでは大変だ。霞んで見える。

新公は東西各1回きり、思い切りやったと言えなくないし、客席もそれを受け入れていた雰囲気はある。でも私は引いた。
自分の役が芝居のどの位置で、どう舞台に貢献できるかをバランスを見られない演技は好みじゃない。

関係あるかどうかわからないけど、かつて、他組の新公でも今回のように感じたことがあった。
過去2回も今回と同様、成績のよい上級生が新公娘2を務めていて、新公ヒロインは初ヒロインの下級生だった。
そのときの新公ヒロインは食われてはいなかったけど、それでもいい気分はしなかったわ。
下手な下級生が舞台を壊してるのは「しゃーないかー(ヘタだし)」と思えるんだけど、なまじ上手い人が必要以上に出すぎてるのは癇に障るんだよね。もっと視野を広く持って!と言いたくなる。

小桜レーニの極度の強さと、星蘭ジルの弱さ、でも"親友"っていうのが「あるよねー」って思った。
親友ってキレイに言ってるけど格下扱いしてる感じが見ていて辛い。

「親友なんだから当然○○してくれるよね」
「親友なんだから○○してあげなきゃ……」

っていう支配・被支配関係に見えた。
ジャイアンとのび太的な感じとでも言おうか。(ジルはのび太っぽくないけど)

この関係性がまた、星蘭ジルをヒロインに見せにくい要素だったと思う。華やぎから遠くなるもの。
基本的には「星蘭さん、もっと堂々として!」なんだけど、「小桜さん、もうちょっと引いて……」と言いたくなる舞台でした。

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