『幕末太陽傳』感想・8

雪組

『幕末太陽傳』の感想の続き。
書き残してた分を思いつくままに。

・とにかく役が多かった。
1つ1つの役は大きくはないけど、下級生でも脇でも娘役でもちょっとしたセリフがあったりビジュアル的な見せ方で差別化を図ってたりしていた。
数人口でも着物の色や髪型で見分けがつくし、お仕着せゆえの揃いの着物でもそれぞれに性格を出した演技をしている。

冒頭で佐平次といっしょに登楼する叶海・鳳華・ゆめは、ちぎみゆのタンゴのときに2階で女郎とそれぞれの愛の踊り(笑)を役として踊っていた。
かっこつけてたり慣れてない風情があったり眠って正体をなくしてたり、三者三様のダンスが楽しい。敵娼として組む娘役さんも同様。

・女郎はあまりセリフはないが、それでも目病みがいたり子持ちがいたり。
おそめとこはるの喧嘩の場面は性格が出る小芝居が楽しい。

・まちくんが「へぇ」とかやってるとハマりすぎの上手すぎにうなるしかない。合いの手入れるタイミングいいわー。
あああ、いのさんにだまされないでー、まるめこまれないでー、うまくあしらわれちゃってるけど頑張ってー。

でっかい子がハの字眉で困ってる姿はかわいい。

・相模屋の若衆ではおーじも気になる。
徳三郎とおひさを牢に閉じ込めるあたりが特にね。

・「三枚起請」の場面の暗転後、相模屋のひとびとがぐったりしてるのが笑える。
徳三郎は膝枕してもらっているなど甘ったれの女好きのボンボンぶりが可愛い。

・だいもんの高杉は「三千世界の烏を殺し主と朝寝がしてみたい」から始まる。
それも三味線を弾きながら。

おおぅ、いきなりハードル高いところから始まったぜ。

ていうかこれを新公で縣くんがやるのか……と違うほうに頭が行ってドキドキしながら見ました。
ムラは観てませんが東京で観る予定なので楽しみです。
(これも友会で当たった)

レボリューションソング(正式なタイトルは「長州男児の心意気」だそうな)を長州メンバーが歌ってるとき、後ろを向いてるだいもんが色っぽくて好きです。

対いのさんで「やめろ」と言うところや、斬りかかったあとのやり取りなど、含みのある芝居がさすが。
2人の間の空気感がいい。
まるで違う世界を生きてきた男同士が運命のいたずらで出会って、互いを認め合うというのにはぐっとくるものです。

・相模屋夫婦の登場シーン、「南無妙法蓮華経」から始まるので仏壇屋が出てきたのかと混乱した。

みとさんとにわさんは夫婦、咲奈はみとさんの子だけど番頭上がりのにわさんは咲奈の実父ではない……となかなかにややこしいおうちのようだ。
みとさんには夫(咲奈の実父)がいたけれど死別したか離婚したかして、恋仲でもあったにわさんと結婚したとかそういうの? 愛し合ってる仲のようだ。

にわさんのとぼけた味わいはいいよね。

・おくま婆さん、まゆげを消しただけでなく睫毛の付け方も独特なのか。下向きの刺さりそうな付け方。
こういう老けメイクもありか! 工夫すごいなと感心した。

・金ちゃんは大ちゃんなのでゲス感がないんだよね。スミレコードに引っかからないキレイさ。
その代わりに「○○でゲス」って言ってた(笑)。

ちなみにル・サンクでは「下衆」じゃなくて「下司」と書いてありました。
下司ならまぁわかる。

・まなはるは可愛らしいお父さん。
おひさの、調子のいい父親なんだけど、その軽さが若造っぽい。
元々の顔も可愛らしいからなぁ。

・映画ではいのさん一人の旅立ちです。
「墓にはとんと縁がないもんで」「墓に縁のねぇ奴なんているか」から、俺は生きる!!と死を背負ったいのさんが一人で駆け出します。

宝塚版ではそこに「三枚起請」の起請文と「品川心中」の幽霊をからめたのがほんと上手いなと。
小柳センセイに一本取られたぜ。
5回観て5回とも劇場で唸った。(もちろん心の中で)

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雪組

Posted by hanazononiyukigamau