『双頭の鷲』感想・2

宙組,専科

宙組バウホール公演『双頭の鷲』11月26日(土)11時公演と27日(日)14時半公演の感想。

●理事様演じるスタニスラスの登場シーンがとても好きです。

雷鳴とどろく嵐の夜に、稲妻の光(カメラのフラッシュではないと思うけれど、イメージを重ねてあったりは――しないか)に手負いの姿が浮かび上がって、スローモーション撮影のようにも見える。
この登場のしかたが、彼の特別性と2人の恋が運命であることを知らしめてくれる。

とても良い演出。

そのあとの寝台の上でひたすら様子をうかがっているところも素敵でした。

王妃と心通わせるところでは甘やかさに心動かされ、その王妃に裏切られたと感じるところではナイーブな若さに胸が痛みました。
みりおんと並んでもきちんと若く見えるってほんと化けもんだ……。

●みりおん演じる王妃の髪型が好きです。
特に第1幕のアップスタイル。まじまじと観察しちゃったぜ!

王妃の奇矯さ、高慢さが素晴らしかったです。
『エリザベート』のシシィはあんなに内気で傷つきやすそうな造形だったのに、こちらではこうきたか!

彼女が好むものすべてが奇怪。
嵐、火、こうもり……死を希求する彼女の内面を示すモチーフ。
彼女にとって死は甘くかぐわしいもの。

彼女の命を奪いにきたはずのスタニスラスを困惑させるほどの、死に焦がれる王妃の狂気のさまは見事。

トップ娘役として経験を重ね、そして宝塚での最後の日を見定めたがゆえにか、美しさと迫力を兼ね備え、宝塚らしくも宝塚を超えた芝居と美しさを見せてくれました。

そんな彼女がスタニスラスと恋をし、人生が一変。
モノクロの世界に色がつきます。
(この場面での、パパラッチたちによる転換がこれまた見事!)
赤い華やぎが舞台に足されることで、王妃にとっての世界が変わる。――こういう、直感に訴える演出好きだわ。これこそ演劇、これこそ演出。

最後は、スタニスラスによる死を望むあまりの「芝居」をします。
ここも胸が痛くなったのですが、それもそこに至るまでの2人の間に共鳴しあうものが見えたからこそですね。

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