『舞音-MANON-』感想・5

月組

●たまきちがすーちゃんをマジで愛しているのにびっくりした。(役名で書け)

最初に紅虎家に行ったときは「すーちゃんをたぶらかして自分のものにして、紅虎家を手に入れるついでに裏社会も牛耳る流れか」と思ったんですが、ガチでたまきち→すーちゃん。
びびったぜ。
すーちゃんには悪いが好みが熟女すぎんか。

クオンとマノンの過去話には、父親は出てくるんですが母親が出てこないのが気になります。(現地の女としてしか出てきてないよね?)
生きてるのか死んでるのかすら語られてなかったはず。
たぶん亡くなってるのかなぁとは思うんですが、そうなるとクオンは亡くなった母の面影を求めてマダム張に……って、源氏の藤壺か!

クオンは、終わりにさしかかるころに殺されます。
「可哀想な男」と死体に口づけるすーちゃん……!

●あーさ演じるカオは革命家の一員。
若く、志篤く、希望に燃えています。

革命家であることは表向きの顔ではないので、当然普段はそんな風ではありません。
クオンに「俺についたほうが得だ」と誘われたときの返答の仕方がいいです。
邪気がなさそうで、かつ使用人としてのちょっとした卑屈さや困った風情も少し感じさせて。
いい芝居するなぁ。

●うみちゃんのホマはイヤなやつ。
なんだけど、今作で一番共感できて、ある意味一番好きなのは彼女かもしれない。

貧困の中に育ったがゆえに歪み、ひがむ心を持ち、「私たちが苦しんでいたときにマノンはフランスの男たちに抱かれて宝石を買いあさっていた」と糾弾する。

フランスの男たちに抱かれるのを生業とすることも、その対価として宝石を得ることも私にとっては「悪」ではない。
だからマノンを無実の罪に陥れることも、謀略のついでに宝石類を盗んでしまうのも責められるべきこと。
ホマ自身、自分の言い分が言い訳にすぎないことはある程度感じ、それゆえに「自分のしていることは正しいんだ!」と大声で主張せずにいられないんだろう。
恨みを正当化するためにも。

ホマの悲しさはこちらに突き刺さった。
苦しいとき、人間は道理に合わなくても、誰かしらに犠牲を求める。怒りの矛先を「弱き者」に向けたくなる。
その矛先が誤った方向に向いていても、どこかにぶつけずにはいられない。

そういう「人間ってこういうところあるよね」感がこちらに強く響いた。

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月組

Posted by hanazononiyukigamau