『新源氏物語』感想・3

花組

●みりおの源氏はしどけなく座っているところが絶品だと思う。

「雨夜の品定め」で友人が理想の女について語っているのを聞いているところと、宮中の宴のあとで藤壺を想いながらきざはしに腰かけているところが好き。
優美である。
爛熟した美しさの中に、崩壊のきざしが見える。
鬼神も魅入る不吉な美しさ、だ。

光源氏には藤壺とのラブシーンはあまりないのだけれど、熱烈に恋しているように見えた。

相手を見る視線よりも、1人で内面を見せているときのほうが恋の重みが感じられるのかも。

●2番手・キキちゃは光源氏の従者・惟光。
2番手……? な感じではある。

やっぱり光源氏に相対する親友でありライバルでもある頭中将のほうが2番手らしい役だと思う。
なんでキキちゃんが頭中将じゃなかったのかなー。
瀬戸くんが惟光っぽくないから?
惟光もいい役だし、似合ってるけどさ、どうしても役の大きさや番手的なものを考えてしまうのよ。

惟光はかわいい。
いろんな人に責められて(紫の上とか)(笑)、そこを汗だくでなんとかしている。かわいい。
あ、若紫の幼女誘拐のくだり、もし瀬戸くんがやったらただの犯罪だ(笑)。
これ、キキちゃんだから許されてる気がする。

ラストシーンは黒の衣装をきりりと着こなして、変化ぶりに彼にもそれだけの歳月があったのだなと感じ入りました。

●頭中将に瀬戸くん。かっこいい。
チョンパで登場したところからかっこいい。
みりおの光源氏との色の違いが、いい対具合。

彼の頭中将は、大和和紀の「あさきゆめみし」での記憶より柔和さが少ない。
弘徽殿の女御への不満を父・左大臣に言うところが特にそう。
それから、光源氏に自分は正妻。葵の兄だけれど、通う相手がいることを責めたりはしないと言うところも。
これは瀬戸くんの持ち味なのか、作・演出が男性であることによるものなのか。

須磨へ源氏を訪ねるくだりは感動的だった。
剛毅さにいい男だと思ったし、こんな親友のいる光源氏は幸せ者だとも。

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花組

Posted by hanazononiyukigamau