『星逢一夜』感想・4
●観劇2回目以降にははじめの踊りの意味がわかります。
源太さんじゃないだいもんがみゆの背を押してちぎのほうへやってたりなど、これから行われることを先に見せてるんですね。
●農民一揆は、3回目に観たときはバスティーユの場面を見ている気持ちになりました。
私の脳にベルばらが染みついてる。
●気が弱くて言いたいことも言えないちょび康が「(一揆を)俺はやりたい」と弱弱しく言うのが泣けます。
子供に死なれた彼が、気弱さを持ってしてもなお言わずにいられなかった言葉なのだと思うと。
●泉と源太が婚約している段階での星逢の祭りの場面。
「帰りは遅くなってもええよ」とお母さんに言われて泉を探しに行ったのに、見つけたら晴興と泉がただならぬ雰囲気になっているとか――。
この天国から地獄な感じがもうね。
でも泣いた泉の目元を笑顔でごしごしこすって「俺はええよ」と身を引こうとする源太さんの源太さんっぷりがまた辛い。
●晴興、泉、源太の3人ともに感情移入できる話ですが、それ以外の人にもいろいろと思います。
じゅんこさん演じる吉宗と、せしる演じる貴姫もそれぞれに辛い。
・吉宗と晴興の関係はなぁ……。
泉が「子供たちはみんな寂しくて、いつも一緒にいた」と言うけれど、晴興だってそうなんだよな。
父親はいるけれどみそっかすの次男坊扱いだし、国元での評価もぼろくそだ。
だから吉宗に「父」を見たんだろう。
自分を見出してくれた吉宗のために尽力して、それが源太らとの決裂へとつながっていくのが切ない。
・貴姫は晴興が思うさま働けるようにするために彼の妻となる。
晴興の心が自分にないことをどのくらい気づいていたのだろうとか、自分の伯父のために辛い決断をし、望んで永蟄居のみちを選んだ夫をどう思うのだろうとか、いろいろと考えてこちらも切なくなる。
●子供時代が長くて、大人になってからはあまり多くの時間を割いていない。
飢饉にみまわれ、「ごちそうは用意できんけど、これ=(足を洗うお湯)がごちそう」「ごちそうさん」だけで、夫婦の関係を見せられるのがすごい。
すごいのはみゆとだいもんの演技力もだし、こういう的確な場面を作るウエクミもだ。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません