『男役』を読んだんだ

雑誌・書籍

中山可穂さんの小説『男役』を読みましたよ。

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読んでたら突然「らんとむさん」の文字が出てきてびっくりしました(笑)。

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内容は、50年前に舞台事故で亡くなったのち大劇場に棲みつくようになった元・男役トップの「ファントムさん」、彼女に見込まれた現トップのすみれ、新人男役のひかる、「ファントムさん」の元相手役だったひかるの祖母らの物語。
作者があとがきで「当初は現代能楽集シリーズの一本として、150枚程度の中編小説にするつもりで書きはじめた。」と明かしたように、ファンタジーというよりは、「能」の幽玄性を感じます。
(私が「幽玄」をわかっているかはともかく……)

退団を間近に控えたすみれの苦悩が深くて、男役って、しかもトップにまで上り詰めたほどの人の辛さって尋常じゃないな……と。
人生のほとんどをささげてきて、それが退団後は意味をなさないかもしれない、これからどうやって生きていけばよいのか。
彼女の「消えたい」という言葉は、決してすべての男役に共通するものではないのでしょうが、理解できる気がしました。

重めの話です。

あ、百合っぽいところもあるので、そういうのが好きな方にもおすすめ。

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