101期生文化祭をみたんだ・4

文化祭,音楽学校

演劇はハリー作・演出の「黒い風の物語」。

ナポレオンとの戦いに敗れたスペインが、フランスの支配を受けていたころの話。
恐怖政治を受ける中、カーニバルの夜、旅芸人の一座による芝居が演じられる。
劇中劇のような形を取っています。

知らなかったんですが、ぶんまひの『追憶のバルセロナ』をもとにした話だそうで。

今回は12時公演と16時公演を観ることができたので、A組とB組の両方を観ることができました。
本科生40人を2チームに分けて演じられる芝居の両パターンを観たのですが、チームによってこんなに感想が違うものかと驚きました。

●12時公演に出演したA組。

作・演出はハリーです。
現役の下級生でも苦労するもの、本科生には荷が重いよなぁ、という気持ちになりました。

・旅芸人の劇中劇の形をとっているためか、語り部・アルディメオラのセリフの多さといったら……。
専科さんみたいなわざが必要になりそうな大変さでした。
もしかしたら、主役(天紫)や2番手以上に大変な役回りなんじゃないかな。(龍季)

・大変だなぁと思った中、上手いなと思ったのは2番手・アントニオ役。(颯香)
A組の中で頭抜けてよかった。

ただ、この方、セリフ回しはいいのに、ときどき舌足らずになる。
「芝居がうまいのに滑舌が悪いって変な子~」と思ってたら、アメリカ出身の男役さんでした。
滑舌は日本語が多少不如意なせいかな(あ、理由は別なところにあるという可能性もある)。

なんとなくですが、英語で感情の入ったセリフは言えるんだけど、日本語でのセリフがすらすら出てこないみたいな印象を受けました。

・3番手(?)ロマの若者・ロベルト役に第3席の男役さんが。(愛乃)
すっきりした美形ですが、「キミは、緊張しまくって大運動会でラインを踏んでた人か!」というだけで変なツボに入ってしまいました。

・スパイのような役回りをする面白い役・イアーゴにクラシック・ヴォーカルを歌ってたえりたん似の男役さん。(夕陽)
「4日殺し」の薬を飲まされているところでは『カナリア』の丸薬を飲まされているところを思い出しました。

●16時公演はB組。

12時公演でストーリーや登場人物を把握していたせいもあるかもしれないけれど、こちらのほうがものすごくよかった。

第一声の「カーニバル!」から芝居に引き込まれた。
(でも残念ながらロマの旅芸人役の娘役さんたちは誰が誰だか……)

・主役・フランシスコは第1部ポピュラー・ヴォーカルのダンスで目を引いた第4席さん(縣)、2番手・アントニオは歌のうまい首席さん(鷹翔)。
2人のビジュアルバランスがいい。
いかにも「ヅカ!」な主役と、ちょっとどっしりした男らしい2番手の並び。

首席さんはさすがに芝居も上手かった。

・主役の第4席さんはなんか「宝塚だなぁ……」と。
すでにスターっぽかったんだよね。

・ヒロインのイザベルは第3部でバリバリ踊ってた娘役さん。(結愛)
セリフの間がよかった。

・娘役2番手のセシリアは運命に翻弄される貴族の美女。
フランシスコと恋仲になるも、彼が記憶喪失になって失踪している間にわけあってアントニオに嫁ぎ、記憶を取り戻し「黒い風」となったフランシスコと再会する。
美女でなければ説得力のない役を、その美貌で魅せました。

「清く正しく~」の後半を歌っていた娘役さんですね。(星蘭)
背が高く大人っぽい美人です。
大人っぽいのは、「ちょっと尖ってる……?」と思うほどに痩せてるからというのもあるかもしれない。

声がきれいなのもいい。
セリフ声はちょっとみゆっぽいかなと思いました。

・イアーゴ役(翼)、フェイホー役(望月)の人もよかった。
B組は個々の力もさることながら、お互いに芝居が噛みあってる感じがした。
だからセリフの間がよくて、ストレスなく観れたんだよね。
どちらもいいコメディでした。

・スペシャルだなと思ったのは、語り部・アルディメオラ役の娘役さん。(凜香)
(アルディメオラ役は、A組は男役が、B組は娘役が演じてました)
セリフも演技もメリハリがあって、話がわかりやすいし飽きさせない。
決して邪魔はしないのに、物語を支配している。
芝居の空気を作れる人。

だから「ハリーなのに大変だな」という感じがしませんでした。
あー、すごかった!

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