『Bandito-義賊 サルヴァトーレ・ジュリアーノ-』感想・9

月組

・この作品で一番悪いのはるうちゃん演じるアントニオ・ディ・マッジオでした。
貴族たちの味方を装って、その実はマフィアを使ってシチリアを手に入れようとしている男。
表向きは温厚だけどその実は野心家。

貴族たちに「あなたでなければ」と言わせる狡猾さをみせるナンバーもよかったし、ちゅーちゃんのマッダレーナ、さち花のマリア・テクラ・シリアスクとの色気のある芝居もよかった。
わかばのアマーリアに対する非道のふるまいも迫力があったし、ジュリアーノに追いつめられて焦りながら何度も引き鉄をひく小物ぶりも真に迫っていた。

ものすごく良かった。

るうちゃんという人は、タカスペに出るようなスターさんかと言われると疑問を持たずにいられないんだけど(すいませんね)、脇でがっつりやるには頼もしい人だ。
歌も芝居も達者。

・ちゅーちゃん演じるマッダレーナはいい女ぶり。
アマーリアの継母なんだけど、色気のある気位の高い悪い女で、こういうの似合うなぁぁぁ。

未亡人だけど若くてまだバリバリ現役の「女」。
だからこそ、自分より若くて美しい継娘のアマーリアに辛く当たるんだろうな。

・マッダレーナの友人の貴族・ジョコンダにたんちゃん。
優雅さが怖い。
小間使いのネーダ(小雪ちゃん)がマッダレーナの気に染まぬふるまいをしたとき、「マッダレーナは優しいから。召使にはわかるようにいいきかせてやらなければ」みたいなことを言うんだけど、この人、自分の召使には絶対に身体で言い聞かせてるんだろうなぁ、人間扱いしてないんだろうなぁと感じさせるものがありました。

・スウェーデン出身のジャーナリスト、マリア・テクラ・シリアスクはこれぞさち花!な役。
こちらも怖い。うさんくさい。

さち花の放つじとっとした空気感が、ジュリアーノを破滅へと導く雰囲気となって舞台にただよっていた。

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月組

Posted by hanazononiyukigamau