『Bandito-義賊 サルヴァトーレ・ジュリアーノ-』感想・8

月組

・ジェンコ・ルッソ役はまんちゃん、マフィアの頭領です。

マフィアなのはいいんだけど、あんまりボス感がない……。
悲哀の中間管理職っぽかった。
シチリア貴族に飼われているような部分もあるから、間違いではないんだろうが、うん、なんかもうちょっと、なぁ……。

こういう役だったらスミスのほうが似合いそうだけどなぁ、と思いながら見てました。
(スミスはロミジュリ新公のジュリパパが素晴らしかったので)
大野センセイはまんちゃんにスーツ着せて踊らせたかったんだな、きっと。

フィナーレでは三角形の頂点にいて、ダンスリーダーぶりを発揮。
かっこよかった。

・「主な配役」の波線上に名前があることからして、宇月のヴィトー・ルーミアが2番手であることに間違いはない。
が、前述したように1幕ではあまりそんな感じがしなかった。

ヴィトー・ルーミアはシチリア逃亡中のアメリカマフィアで、過去の出来事から彼は虚ろに生きている。
虚ろさの表現(演技)をもうちょっとなんとか……と思ったのはさておき、影のある主役に影を背負った2番手という形だったから、あまり映えなかったというのはあると思う。
序盤はあまり物語を動かさないし。

2幕はよかった。
信じていた友人に裏切られて、心ならずもシチリアに逃亡することになった理由が明らかとなるシーンはこの作品の白眉。
宇月の歌のドラマ性が素晴らしい。

また、ジュリアーノに「肚の決まらねぇ男だな」と迫るところの迫力も好き。
過去を背負っているだけにジュリアーノに苛立ちもし、でも一方では彼もまた、ジュリアーノに希望を託していたのかなぁと思う。

最後に貴族たちを追い詰めるさまは爽快だった。
明るいシーンではないんだけれど、ニヤリとした。
ルッソはヴィトーを疎んじていたようだけれど、「ボスからの伝言」を託されるようになるまでになるとは。
2人のあいだでどんなやりとりがあったのか想像するとこれまたニヤつける。

・アメリカ人ジャーナリストのマイケル・スターン役にからんちゃん。

からんちゃんの持つ、小回りのきく器用そうな雰囲気が役にとても合っていた。
飄々として、物語からちょっと浮いた存在感がある。
それがこのシチリア社会の異分子という雰囲気があった。

鬱屈した世界を軽やかに生きているのは、誰もが嫌悪しているシチリア社会に彼だけが望んで飛び込んでいるからかな。

2幕初めの口上もあざやか。

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月組

Posted by hanazononiyukigamau