『Bandito-義賊 サルヴァトーレ・ジュリアーノ-』感想・6

月組,専科

・読み応えのあることには定評のある大野作品のプログラムはもちろん買いました。

表紙をめくると――そこには耽美なたまきち。
薔薇の花びらが血のように散り敷き、その上に伏せる銃を手にしたたまきち。

こっちをポスターにしたほうがよかったんじゃ。
作品の雰囲気的には「ポスター詐欺」と言われたかもしんないけど、これがポスターだったらもっとチケット売れただろうなー。
私は手に入れやすくてありがたかったけど。

役ごとに解説が入ってるのもありがたい。
メインキャストはもちろん、農民・軍人・踊り子にまで解説があるっていうのがさーすが大野くん。

まゆぽん演じるサルヴァトーレ・ロンバルドの「ジュリアーノとは同年同日の生まれであり」には萌えました。

ヒロさん演じるジュゼッペ・トマージ・ディ・ランペドゥーザの項には「ちなみに、ランペドゥーザ邸の廃墟の外壁は、長らく空襲時のままに放置されていたが、愚かにも昨年、マンション建設を理由に取り壊された」。
“愚かにも” ってところに大野センセイの気持ちが入りまくってますね。

・ヒロさんは今回も大野センセイのミューズでした。
ほんと好きなー(笑)。私も好きだけど。

ヒロさんは後に小説家となる貴族。
物語世界ではまだ小説家になってませんが、彼の想像力によってジュリアーノは山賊へと導かれていきます。
嘘から出たまこと。

シチリア社会を茶化し、ときにジュリアーノも茶化し、自嘲と、諦めと、優しさと誠実さを持ちながら、外側からジュリアーノを見守る。

ジュリアーノに時計を奪われ「本当の山賊に成り果てたか」みたいなことを言うところ、ピショッタらが農民を襲撃したあとの「アマーリアに会っていくか」と言うところの苦さがよかったです。

あと、ジュリアーノらを追ってきた憲兵を「脅されているのだから」と煙にまくようなところは楽しかった。
あの飄々としたところはさすがのヒロさん。

専科さんならではの仕事でした。
芝居も歌もたたずまいもいいなぁ。

ヒロさんにとっての前作『アルカサル~王城~』宰相ダルブルケルケを思い浮かべ、比べました。
あれはヒロさんなのに、舞台で浮いていてすごく変な感じがしたんだよね。
上手いんだけど、星バウメンバーとは色が違うのか?

それに比べて月バウでの馴染みっぷりといったら。
ヒロさん、元は星組組長なんだけど。
といっても20年近く前のことだから、当時の星組と今の星組(それも若手)とでは違うのかもしれません。

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