『風の次郎吉 ―大江戸夜飛翔―』感想・6

花組,専科

花組シアタードラマシティ公演『風の次郎吉 ―大江戸夜飛翔―』感想の続き。
出演者についていろいろ書きたいことはあるけど、どこから書いていいかわからんので、とりあえず主演のみちこ様から。

鼠小僧次郎吉のみっちゃんはとてもみっちゃんでした。
歌も芝居もダンスもめちゃくちゃ上手くて、三味線も殺陣もこなして、とことん笑わせるハイパーなみっちゃん。
その笑いが少々大衆演劇風味で、人を選ぶところも含めてみっちゃんテイスト。

人は選ぶけれど、それでも決して損はさせず満足感で充たして家路につかせてくれます。

プロローグからすごかったです。
歌うとオーラが増すし。
あの声の気持ちよさはすごいよなぁ。
問答無用で連れて行かれる。

なんちゃって時代劇のもっさりした長髪がけっこう似合う。
この重たげな感じがなんかいいのよ。
手がかかりそうで、つい世話を焼きたくなる感じで、母性本能くすぐり系かと。
スッとしたイケメンの金さん(瀬戸くん)と好一対。

次郎吉はまっすぐに育った男ではありませんでした。
わけあって親に死なれ、甚八(ハッチさん)に育てられたけれど素直になれず、人に愛されつつも身の内に影を宿している。

これがパッカーンと明るいようでいて、内面はなかなかめんどくさそうなところのあるみっちゃんにぴたりとハマリました。
あ、「内面がめんどくさそう」って勝手に私が感じてるだけです。
お腹立ちのファンの方がいらしたらすいません。

ちなみに次郎吉のヒネた風情はかなり好きでした。
甚八と軽く口論になって家を出るところや、若き日の次郎吉がかよに手癖の悪さをとがめられて「チェッ」とやるところとか。

人を選ぶコメディ部分(たとえば、ネコの怖がり方とか、三助が予想外の登場をしたときのセリフ回しとか)のやりすぎ加減は実のところ私はあまり好みに合わない。
が、やっぱり上手いのは上手いと思うし、単に好みの問題ですね。

1幕終わりは客席通路を通って退場するんですが、そこでタメて見得をきるようにし、そして大きなクシャミという流れが最高でした。
みっちゃんの大衆演劇性と間の良さがいかんなく発揮されてました。

ベタなものをとことんベタにやるっていいよなぁ。
ベタなものって上手くいけばとても気持ちいい。
通俗性というのは、選りすぐられて生き残ったものでもあるから。

幕間休憩中の映像、フィナーレ前のエンドロールの演歌バージョン主題歌、客席追い出しの手締めのアナウンスなど盛りだくさんで最高でした。
正月早々いいもん観たわー!! と叫びたくなる公演で、その主演を万全でつとめられたみちこ様に乾杯。

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