壽初春大歌舞伎を観てきた・1
先日、生まれて初めて歌舞伎を観劇してきました。
私が観たのは「松竹創業120周年 中村翫雀改め四代目中村鴈治郎襲名披露 壽初春大歌舞伎」なるものの夜の部。
歌舞伎は初めてであるからして、襲名披露にもお正月の公演であることにも大阪の公演であることにもなんの思い入れもありません。
出演者もわかりません。
演目も基本的にはさっぱり。
席は1番安い3階席。
今にして思えば、それが失敗のもとだったのかもしれません。
●一、将軍江戸を去る(しょうぐんえどをさる)
これが……ですね……。
劇場(大阪松竹座)でもらったチラシによれば「時代の大転換期を背景に描いた新歌舞伎です。重厚な台詞劇をどうぞお楽しみください。」というもの。
「新歌舞伎」というジャンルがあるのですね。
何も知らずに行って「あれ、こんなはずじゃ……」感でいっぱいになりました。
歌舞伎初心者の私にとっては、「歌舞伎=派手な隈取りで見得を切るもの」です。
それが地味なメイクで歌舞伎調のセリフ回しもなく、最初は見得らしい見得も切らず、ゆえに「よく知らんけど、新劇ってこんな感じなのかな」と。
タカラヅカで例えてみれば、「宝塚=ベルばら」と思ってる初心者が大劇場にきたら演目はマサツカ作品だった、といったところでしょうか。
歴史にも明るくないので「山岡鉄太郎って誰だっけ」レベルです。
そんな人に「時代の大転換期を背景に描いた」のドラマ性は伝わりにくいのです。
まぁこれは私がおバカなだけですが。
開演前にプログラムを読んでおけばよかったのでしょうが、1700円するので買う気がせず。
「重厚な台詞劇」はときに退屈です。
ぼんやりしながら、
「宝塚=ベルばらと思っている人はとりあえず派手で華やかであれば満足してくれる傾向があるよな。
きれいなわっかのドレスがばーんと出てくるような華やかさ。
宝塚版ベルばらに対して文句を言うのは何年もヅカファンをやってる人であって、宝塚を見慣れていない人の中には芝居の整合性とか気にしない人ってけっこういるよな。
てことは、ヅカ初心者のためにはベルばら的なものはやはり必要なのか。できればもうちょっと脚本をマシにしてほしいけど」
などと考えていたので、あんまりセリフの内容は頭に入ってませんでした。すいません。
そんなときにしばしばかかる「○○屋!」「△△屋!」の掛け声。
うるさいです(暴言)。
なけなしの集中力がぶっとびます。
私の取った席が3階の後ろの方なもので、かなり近くであの掛け声を聞くことになるんですね。
歌舞伎慣れしていると「これぞ風物」でしょうし、席が遠ければ(つまり1階席などであれば)近くで声を聞くわけではないので問題ないのでしょう。
これはヅカ的に言えば座った席が総見席のそばだった、という感じか。
3階席だと花道もろくに見えないので、そういう意味でも集中力保持はむつかしいのですよね。
うーん、初心者向けの席ではなかったか。
それはそうと、最後の江戸を去る場面の書割は面白かったです。
遠近感の出し方がすごい。
よくわかりませんでしたが、途中までは橋のセット、途中からは書割(絵)になっているのかな。
ディスカッション
コメント一覧
あ…えらく渋いモノを…それはご贔屓無しの初見の方にはなかなかに厳しい演目かもです
歌舞伎は古典でも通し狂言(1つの話を初めから最後までやる)でない限り、「前後は話分かってるのがお約束」で一場面だけぶったぎりで上演したりしますし…
入門編だと粗筋がチェックしやすい有名演目、または舞踊物(台詞気にしなくて良いし案外気楽に見れて華やか。藤娘とか引き抜き観るのも楽しいので)お勧めです。
久しぶりに投稿させていただきます。
歌舞伎を私は年に数回観ますが、藤十郎さんがよくおやりになる演目は初めての方にはちょっと難しいかも、です。
(すみません、私は苦手です…)
賛否両論ありますが、中村家が手掛ける新しい歌舞伎や、若い人にも分かりやすい演目、見たことがある役者がならぶ花形歌舞伎、チケ難の海老蔵公演がオススメです。
また観る機会がありましたらぜひ!
あっ、3階は屋号を呼び掛ける大向うさんのいらっしゃるところで慣れると面白いですよ。
すみません、訂正させて下さい。
誤・中村家→正・中村屋
藤十郎さんの息子さんの鴈治郎襲名公演でしたから主演は藤十郎さんではないですね。
失礼しました。
いつも拝見させて頂いております。
歌舞伎にもヅカで言うコスプレ系演目の時代物(勧進帳とか暫くとか)、比較的現代風の日本語でお話が進み、見得などの見所もある世話物(助六とか忠臣蔵とか)、ストーリー性のあるショーの一場面的な舞踊物(道成寺とか)、記事でも書かれてるようなマサツカ風な新歌舞伎、銀河英雄伝説みたいな色々と新しい要素も取り入れたスーパー歌舞伎、色々あります。
最初の方は時代物や世話物など、一番歌舞伎らしい演目を観ると、慣れてくるやもしれません。
>さくら さま
あ、やはり渋いモノだったんですか……。
ご贔屓がいて、「○○さんはこういう役が似合うわ」などと思って見ると、きっと楽しめるのでしょうね。
舞踊物は楽しそうです。
さぞ美しいでしょうね。
>青組 さま
お久しぶりです。
かけ声の「○○屋」というのも初心者には判別しがたく、これも覚えたらきっと楽しいのだろうなーと思いながら聞いていました。
(ヅカにおけるジェンヌさんの愛称のような感じでしょうか)
>J さま
詳しくありがとうございます。
昔、梅原猛さんが手がけたスーパー歌舞伎を観たいなと思ったのを思い出しました。
派手なほうが初心者には楽しめそうですね。